良い選手はボールを持っていなくても上手い?サッカーの原理原則
「うちの子、ボールを持つとドリブルばかりで...」
「中学まではよかったけど、高校からはパスサッカーや蹴るサッカーに慣れるまで時間がかかってしまって…」
このような保護者の悩みをよく耳にします。
実は、これは日本の育成現場でとても多い事例です。特に向上心の高い選手ほど陥りやすい"罠"とも言えるでしょう。では、本当の「上手さ」とは何なのでしょうか?
なぜボールを持っていない時間が重要なのか
試合中のボール保持時間の実態
実は、プロ選手でもボールを持っている時間は90分間のうち2,3分だと言われています。かなり短いです。
そうなると、重要なことはいかにボールを「持った」とき上手いプレーができるかではなく、いかにボールを「持っていない」ときに上手いプレーができるかが焦点になります。
良い選手ほど、ボールを持っていなくても上手いのです。
スペインの下部組織で重視される「オフザボールの動き」
スペインの下部組織では、とにかくこのボールを持っていない時間の「オフザボールの動き」を徹底してトレーニングしています。
具体的には、いわゆる「ポゼッション」と呼ばれるゴールを設置しないでボールを回すトレーニングを徹底してほぼ毎日行い、それも何十種類と工夫をしながら指導者は育成しています。
何十種類もポゼッションのトレーニングがある理由としては、やはり選手適度な刺激を与える、という意図が大きく、あらゆる状況下でも瞬時に柔軟的に対応できる能力が身につけられます。
日本の育成現場での指導の違い
日本の育成現場を見ていると、パス練習や基礎練習を行いますが、ポゼッション練習をしているチームは少ない印象があります。
また、ポゼッション練習しているところも、グリットの広さが狭すぎる傾向があり、実践的ではないため頭を使ってプレーするというよりも一か八かなプレーやパワープレーになりがちな気がします。
良い選手の特徴
先を読む力「見聞色の覇気」が使える
ボールを持っていない時に、あらゆる状況を想定する選手こそ、良い選手の特徴と言えます。将棋で例えると、一手先だけではなく二手先、三手先を準備できる選手になります。
チームメイトの動きを理解する
上記に付随する点になりますが、相手の動きだけでなく、チームメイトの動きや意図も読む必要があります。ここで阿吽の呼吸や意思疎通ができないと、どうしてもサッカーはチームスポーツなのでうまくいきません。試合前などにあらかじめ自分の見解を伝えておくといいでしょう。
常に周りを観察している
試合中のメッシを観察すれば一目瞭然ですが、常に首を振って周りの状況を確認していることがわかります。
「先を読む」為にはまず「情報収集」から!
これこそが、スペインサッカーが大切にしている原則です。
実践的なアドバイス
親や指導者が試合観戦時の注目ポイント
オフザボールの動きを観察
- 味方がボールを持った時の動き出しのタイミング
- スペースへの飛び出しの質パスを受ける前のポジショニング
- 身体の向き
- スペースの使い方
ただ選手がボールを持った時うまくいったかいってないかを見るより、この4つのポイントを意識して見守ることでより一層サッカーが楽しくなると思います。
そして何より重要な点は、すぐに指摘したり伝えないこと!
すぐに伝えて理解できる選手であればいいのですが、ほとんどの選手はすぐに指摘してもなかなか冷静ではなく頭に入らないと思うので、一旦落ち着いてから伝えた方が効果は強いと思います。
親や指導者としての声かけのポイント
「あの局面はなぜああいう動きをしたの?」
「どこでもらったらチャンスだと思う?」
「どこに動けば味方が助かるかな?」
など、具体的な局面について見解を聞いてみてディスカッションするとサッカーへの知が深まります。
【まとめ】
3つの重要なポイント:
良い選手ほど、ボールを持っていなくても上手い
一手先だけではなく二手先、三手先を読む
親や指導者はすぐに指摘せず、タイミングを見極める
オフザボールの動きをマスターすれば、自ずとボールを持った時により一層選手は光輝くはずです。テクニックを活かすためにも、まずオフザボールの動きを理解しましょう。
私は今後も、スペイン名門クラブの下部組織や日本の強豪校での経験を基に、実践的な育成のヒントを発信していきます。
次回は「なぜボールを失うのか?ポゼッションを中学生に説明してみた」について詳しくご紹介する予定です。
より良いサッカー環境づくりのため、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。記事の拡散やフォローしていただけると励みになります!