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アートに飽きた?
文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業の成果発表イベントが終わった。報告プレゼンをしに東京に行き、3日ほど滞在して金沢に帰ってきた。
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これにて、帰国後予定していた全ての展覧会が終わった。まずはサポートしてくれた方や、観てくれた方、制作協力してくれた方、全ての人に感謝したい。
3月は少し落ち着くので、精算や確定申告などやるべきことをやりながら、次のステップ、つまりは大学院修了後の道について思索していく。そのタイミングで、ちょうど富井玲子さんの「オペレーションの思想」という本を読み終えた。
ざっくり言えば日本の戦後美術を中心に、芸術の「オペレーション(作戦・操作)」という概念を通じて現代美術の在り方を分析した本である。特に、1960年代以降に現れたアクションやプロセスを重視する美術の流れを論じながら、「荒野」と「オペレーション」という二つの概念を軸に展開されている。
「荒野」とは、都会から離れた場所という地理的な意味ではなく、「意味が確定しない未開の領域」を示唆している。「荒野」では、過去の美術の枠組みが適用できないため、新たな表現の方法や態度が求められる。そして、「オペレーション」とは、この「荒野」の中で芸術家が取る戦略的な行動を指し示している。単に作品を制作するのではなく、その表現をどう社会化していくか。状況を操作し、観客や社会に影響を与えるような働きかけを行うことを意味する。例えば、戦後の前衛芸術(具体美術、ハイレッド・センター、GUN、ザ・プレイなど)から、作品の完成形のみならず、制作のプロセスや行為そのものに重点を置く傾向が増えてきた。こうした表現者の戦略的な活動を「オペレーション」という概念で捉えている。
このタイミングでこの本を読めて良かったと思っている。
というのも、アートの枠組みに飽きてきた感覚があるからだ。ちゃんと言っておくと、決して表現や制作に飽きたという訳ではない。キャリアステップのルートや制度的な話。
自分は美術領域ではないところから活動していた、言わば「アウトサイダー」の立場から、東京藝術大学大学院に進学し、3年間で結構色々な評価は受けた。つまり、自らの意思で制度の中に入っていった。しかし、公募に応募し続けたり、美術関係者に評価されて...というようなひとつの評価軸の中に従い続けるみたいなことに少し飽きてきた感覚が出てきた。
それと「アーティスト個人の幸福」というのを最近よく考えている。
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