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遅くて、退屈で、つまらない場所

SNSには書かない(書けない)ことを中心にnoteを月に4本更新します。中身は藝大院の話、プロジェクトの過程、アイデアの種、苦しんでいる葛藤の様子などを書き散らかしてます。
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#東京藝術大学

計3年通った東京藝術大学大学院を修了します

タイトルの通り。計3年通った東京藝術大学大学院先端芸術表現科を修了します。 早かった。一昨日くらいに入学したと思ったらもう終わりですからね。入学当初からのことも漏れなくこのマガジンに綴ってきました。 20代までやってきたことをひっくり返すように30歳から、全く未知である美術の大学院に入り直したわけですが、それはそれは新鮮で刺激的でした。と言っても、これまでのキャリアも全く無駄ではなく、むしろ自分の武器なのではないかと自信を持つことができた3年間でした。良い環境に恵まれたと

修了作品解説論文「流されずに流されていく」 5章 おわりに:「流されずに流されていく」ということ

本記事は修了作品解説文の5章です。4章はこちら。 ここまで、自身の生い立ちや原体験、美術作家として活動をはじめる前の仕事を紹介しながら、どのような経緯と必然性を持って現在の表現手法に行き着いたのか。また、「歩行」という行為がどのような意味を持ち、この社会と自身の生き方に作用するのか、先行作品や事例を参照しながらこれまでの実践を紹介してきた。 つまるところ「流されずに流されていく」とは、どのような状態や態度を意味するのだろうか。 それは、ヴァルター・ベンヤミンの語る「自分

修了作品解説論文「流されずに流されていく」 4章 修了作品を構成する4つの作品と先行事例との接続

本記事は修了作品解説文の4章です。3章はこちら。 これまで論じてきた幼少期の原体験から時代背景、デジタルメディアにおける言語表現の限界性、そして歩行という実践の可能性は、修了作品「流されずに流されていく」として結実する。本作品は4つの独立した作品によって構成されているが、それらは全て「歩行」を中心に据えて展開されている。本章では、各作品の詳細な分析を行いながら、シチュアシオニストの実践や現代アーティストの先行作品との接続を試み、修了作品の同時代性と表現の必然性について論じて

修了作品解説論文「流されずに流されていく」 3章 表現の転換点:デジタル空間から歩行/美術

本記事は修了作品解説文の3章です。2章はこちら。 前章では、「プロ無職」という独自の肩書きを選択するまでの過程を、1990年代の新自由主義的な時代背景とともに論じてきた。本章では、その「プロ無職」としての活動、すなわちデジタルメディアを用いた情報発信を通じて直面した課題と限界について検討する。特に、表現の言語化・数値化や、アテンションエコノミーにおけるコンテンツの消費という問題は、新たな表現の可能性を模索する契機となった。この章では、デジタル空間から距離を置き、美術表現、と

修了作品解説論文「流されずに流されていく」 2章 美術制作以前:新自由主義の時代における『プロ無職』という肩書きの選択

本記事は修了作品解説文の2章です。1章はこちら。 本章では、私が美術制作を始める以前の活動と、その時代背景について論じる。2015年から2020年頃にかけて、私は「プロ無職」という肩書きを名乗り、世界各地を移動しながら働く人々を取材し、オウンドメディアやYouTubeで情報発信を行ってきた。この活動は、表現メディアこそ異なるものの、現在の制作活動の根幹となる思考を形成している。本章では、私の生い立ちや時代背景を辿りながら、なぜ「プロ無職」という特異な肩書きを名乗るに至ったの

修了作品解説文「流されずに流されていく」1章 はじめに

東京藝大修士課程の最終審査を控え、修了要件のひとつである「修了作品解説文」を執筆した。 修了作品は先月のコートヤードHIROOで開催した個展「流されずに流されていく」と同名の映像インスタレーション作品。 この作品と研究内容について解説するには、自分が美術をはじめる前の「プロ無職」としてネット上でバリバリ発信活動してたときや、さらには、なぜ「プロ無職」を名乗るに至ったのか幼少期の原体験や時代背景を論じる必要があると考えた。 そしたら、最低文字数の倍以上の分量になった。大変

大学院終了後のキャリアプランについて_流されていく場所にピンを指す

前回の続き〜。

ネットサーフィンしながらあっちこっち脱線していく時間が大事だったりする

自分にとって「幸福な午前中」とは、コーヒーを飲みながら最近考えてることについて文章にしつつ、その都度思い浮かんだことについてネットサーフィンしながらあっちこっち脱線してダラダラ書く時間です。 ドワンゴの川上さんが「そういうようなことが年を取るとできなくなる」的なことを呟いてた気がするんですが、調べたら見つかりました。 で、なんでこれについて書いてるかと言うと、こういう「無駄な脱線の時間」が1ヶ月の東京出張中に取れていなかったとふと気づいたというか。 最近、体調が良くなく

大学院修了に向けた「研究計画書」を公開!

東京藝大の先端芸術表現科修士課程に在籍している俺です。 大学院は2年で修了なので、前期のこの時期には修了制作(もしくは修了論文)提出にあたっての研究計画書と、制作スケジュールを提出せねばなりません。 修了制作だとしても16000文字の作品解説を付けねばならず、主査は自分の研究室の教授、副査2名は自分でアポ取って面談して依頼する、という流れになります。無事に副査も決まり、面談で言われたことを揉んで提出した「研究計画書」をマガジン購読者に公開しようと思います。 今年1月の学

2022年に立てた目標の達成率と「世界に行くための一歩」を踏み出せたのか問題

最近まで台湾に行っていたワイです。 さて、2022年最後のマガジン更新となりました。 少し早いですが、ざっくり今年を振り返ります。 まず、2022年の頭に立てたそれぞれの目標についていきますか〜! ・大学院合格→達成 東京藝大の先端芸術表現科に無事合格しました。いま楽しくやってます。面白いです。 ・コンペでグランプリ獲る→半達成?

中心を持たないということ

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【藝大ATLAS展】12名の教授からの講評と考察と確信したこと

藝大で開催されていた「ATLAS展」無事終了しました。 遠くまで来てくれた友人たち、そして作品みてくれて嬉しかったどす〜! 6日間のホットサンド作って振る舞うパフォーマンスを通じて、学部の通年テーマが「共有と連帯」でありながらほとんど繋がれていなかった同期や他の藝大生とやっとまともにコミュニケーションできた感覚があって、楽し嬉しかったです。やっぱり共に飯食うって大事。焚き火もできて最高。 自分で言うのもなんですが、31年生きてて、周りに人が集まってくるところが完全に自分

ドイツを目指してヒッチハイクしてる理由

ある日からドイツを目指してヒッチハイクをはじめました。 ドイツを目指す理由は、5年に1度開催される芸術祭「ドクメンタ」で、新プロジェクトのパフォーマンスをしたいと思ったから。 今年全然行く予定なかったんですが、大学の授業のゲストアーティストがドクメンタに出展中の栗林隆さんで、現場の話を聞いてたら超行きたくなっちゃいました。 ※ドクメンタは世界三大芸術祭のひとつで、ここで展示できることは全アーティストの目標でもある 今年のドクメンタの芸術監督はインドネシアのコレクティブ

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教授との面談〜海外留学や制作相談について〜

無事に修士1年の前期が終わり、夏休みに入りました。感想や、やってきたことなどはブログの方にまとめてあります。 最終日に、所属している研究室の教授(八谷和彦さん)との面談がありました。内容は主に海外留学についてで、こちらから面談をお願いしました。

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