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遅くて、退屈で、つまらない場所

SNSには書かない(書けない)ことを中心にnoteを月に4本更新します。中身は藝大院の話、プロジェクトの過程、アイデアの種、苦しんでいる葛藤の様子などを書き散らかしてます。
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#現代美術

修了作品解説論文「流されずに流されていく」 4章 修了作品を構成する4つの作品と先行事例との接続

本記事は修了作品解説文の4章です。3章はこちら。 これまで論じてきた幼少期の原体験から時代背景、デジタルメディアにおける言語表現の限界性、そして歩行という実践の可能性は、修了作品「流されずに流されていく」として結実する。本作品は4つの独立した作品によって構成されているが、それらは全て「歩行」を中心に据えて展開されている。本章では、各作品の詳細な分析を行いながら、シチュアシオニストの実践や現代アーティストの先行作品との接続を試み、修了作品の同時代性と表現の必然性について論じて

修了作品解説論文「流されずに流されていく」 3章 表現の転換点:デジタル空間から歩行/美術

本記事は修了作品解説文の3章です。2章はこちら。 前章では、「プロ無職」という独自の肩書きを選択するまでの過程を、1990年代の新自由主義的な時代背景とともに論じてきた。本章では、その「プロ無職」としての活動、すなわちデジタルメディアを用いた情報発信を通じて直面した課題と限界について検討する。特に、表現の言語化・数値化や、アテンションエコノミーにおけるコンテンツの消費という問題は、新たな表現の可能性を模索する契機となった。この章では、デジタル空間から距離を置き、美術表現、と

修了作品解説論文「流されずに流されていく」 2章 美術制作以前:新自由主義の時代における『プロ無職』という肩書きの選択

本記事は修了作品解説文の2章です。1章はこちら。 本章では、私が美術制作を始める以前の活動と、その時代背景について論じる。2015年から2020年頃にかけて、私は「プロ無職」という肩書きを名乗り、世界各地を移動しながら働く人々を取材し、オウンドメディアやYouTubeで情報発信を行ってきた。この活動は、表現メディアこそ異なるものの、現在の制作活動の根幹となる思考を形成している。本章では、私の生い立ちや時代背景を辿りながら、なぜ「プロ無職」という特異な肩書きを名乗るに至ったの

修了作品解説文「流されずに流されていく」1章 はじめに

東京藝大修士課程の最終審査を控え、修了要件のひとつである「修了作品解説文」を執筆した。 修了作品は先月のコートヤードHIROOで開催した個展「流されずに流されていく」と同名の映像インスタレーション作品。 この作品と研究内容について解説するには、自分が美術をはじめる前の「プロ無職」としてネット上でバリバリ発信活動してたときや、さらには、なぜ「プロ無職」を名乗るに至ったのか幼少期の原体験や時代背景を論じる必要があると考えた。 そしたら、最低文字数の倍以上の分量になった。大変

境界をめぐる実践について-禅と心理地理学とフランシス・アリス-

どうもこんにちは。 2022年に東京藝術大学美術学部先端芸術表現科の修士課程に入学し、フランスへの1年の交換留学を経ながら、早くも修了制作の時期を迎えることとなりました。 藝大先端の修了要件はふたつあって のどちらかを提出する必要があり、ほとんどの人と同様①でいくつもりです。(ちな博士課程は「修士作品+修士論文」が必要) これから修了作品の制作と執筆に取り組んでいくにあたって、自分が何を研究したくて大学院に入って、実際どのようなことを取り組んで来たのか改めて振り返りた

ピエール・ボナール展で取ったメモ

現在開催中のピエール・ボナール展に行ってきた(1人で) 正直「誰?」という感じで事前の下調べもなくフラっと言ったけど控えめに行って面白すぎたし、インスピレーションもらいまくり。普通にもう一回行きたいレベルだった。 2時間くらいいたけど、そこで僕が取ったメモのスクショを載せようと思う。どんなことを感じたか、どんなヒントを得たか、興味ある人は見てほしい。

落ちた直後に通る公募!日本に帰るのが楽しみになってきた

ちょ待って。

「目的が明瞭なプロポーザル」を提出しなければコンペや助成金は通らないのか

うわぁぁぁぁぁぁぁぁ ※悔しさと反省が混じりながら勢いで書いてます 約1ヶ月前に書いたこの件についてなんですが

ロンドン、熱い夜、大いなる刺激

3泊4日で弾丸でロンドンに行ってきた。 半年ぶり2度目の渡英。前回も1泊2日とタイトだっためフランス滞在中、絶対にどこかのタイミングで行こうと決めていた。アートコーディネーターの三木茜さんと別件でやり取りしていた時に「6月末までロンドンにいるんですが来る予定ないですか?」と来たので、ユーロスター(新幹線みたいなやつ)をノリと勢いで予約。物価が恐ろしいことになっているので(1ポンド=200円)、フランスのワインとお弁当を持ち込み向かったのであーる。 テートモダンでオノヨーコ

パリ留学終わるので「まとめ」に入ろうとしている

昨日正午、意気揚々と家を出た。 目指すはパリ市内から北に40km離れたジャン=ジャック・ルソー公園。行きたい理由はなんとなく。ヨーロッパに来てから、すっかり「森」というものが面白くてたまらねぇ!となっている。こっちの公園は「公園」とは名ばかりでほぼ「森」だったりする。 森は「遭難」や「迷うこと」、「さまよい歩くこと」を象徴するイメージでもある。都心の喧騒や目的思考から離れ、当てもなく感覚に任せてふらふらと歩くのにうってつけの場所だ。ブリュッセルのカンブルの森を歩いた経験は

「日本人」で「日本語ネイティブ」で「シスヘテロ」の「男性」

旅から帰ってきて、徐々に回復に向かっていく過程がたまらなく好きだったりする。それは身体の疲労という意味もあるし、内省し言葉を紡ぐことによって経験を振り返るという意味でもある。 旅の間、友人宅やホステルのドミトリーに泊まっていたら100%熟睡できる訳がなく、それでいて普段より重い荷物を持って歩くので身体にダメージが蓄積されていく。だけど自分ドM気質あるので、そうやって朦朧としたトランス状態で旅をするのも、別の角度から新しいことを吸収できそうな気がして好きだったりする。流石に旅

レバノンとイスラエルには行けなかった

キプロスから急遽、ベルリンに行こうと決めた。

流されずに流されていくことに成功した

5月やべぇっす…!やべかったっす…!今日から3本連続でnoteを書いていく。 今月けっこうキツイなと感じることが多々あり、まあその辺は前にも書いた気がする。 5月中旬から一気に動き出した感がある。4月からロケハンと構想を進めていた作品の撮影を一気に進める。撮影期間は3日間。パリの友人達に協力してもらいなんとか撮りきり、編集作業に入る。本当は編集も3日で終わらせたかったのですが、そうなることはなく、そのままキプロス共和国への旅がスタートするという。 キプロスの首都ニコシア

パリのContemporary Artシーンについて感じていること_余裕とかクオリティとか

4月に入ってもう2週間だと…!?早すぎる。 サマータイムに入ったパリが覚醒しています。 天候が素晴らしく、セーヌ川でチルする人でごった返し。そんな自分も、今週はひたすら友人達と気付けば12時間も外でおしゃべりしたり、公園でピクニックしてました。これがヨーロッパの夏なのかと。4月でこんな感じだったら、本格的はバカンスシーズンどうなっちまうんだと。本当に冬が残酷過ぎたため、陽が出ようもんなら作業を放棄して外でボケーっとします。室内手働いてる場合じゃありません。 ようやくパリ