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遅くて、退屈で、つまらない場所

SNSには書かない(書けない)ことを中心にnoteを月に4本更新します。中身は藝大院の話、プロジェクトの過程、アイデアの種、苦しんでいる葛藤の様子などを書き散らかしてます。
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2025年1月の記事一覧

計3年通った東京藝術大学大学院を修了します

タイトルの通り。計3年通った東京藝術大学大学院先端芸術表現科を修了します。 早かった。一昨日くらいに入学したと思ったらもう終わりですからね。入学当初からのことも漏れなくこのマガジンに綴ってきました。 20代までやってきたことをひっくり返すように30歳から、全く未知である美術の大学院に入り直したわけですが、それはそれは新鮮で刺激的でした。と言っても、これまでのキャリアも全く無駄ではなく、むしろ自分の武器なのではないかと自信を持つことができた3年間でした。良い環境に恵まれたと

修了作品解説論文「流されずに流されていく」 5章 おわりに:「流されずに流されていく」ということ

本記事は修了作品解説文の5章です。4章はこちら。 ここまで、自身の生い立ちや原体験、美術作家として活動をはじめる前の仕事を紹介しながら、どのような経緯と必然性を持って現在の表現手法に行き着いたのか。また、「歩行」という行為がどのような意味を持ち、この社会と自身の生き方に作用するのか、先行作品や事例を参照しながらこれまでの実践を紹介してきた。 つまるところ「流されずに流されていく」とは、どのような状態や態度を意味するのだろうか。 それは、ヴァルター・ベンヤミンの語る「自分

修了作品解説論文「流されずに流されていく」 4章 修了作品を構成する4つの作品と先行事例との接続

本記事は修了作品解説文の4章です。3章はこちら。 これまで論じてきた幼少期の原体験から時代背景、デジタルメディアにおける言語表現の限界性、そして歩行という実践の可能性は、修了作品「流されずに流されていく」として結実する。本作品は4つの独立した作品によって構成されているが、それらは全て「歩行」を中心に据えて展開されている。本章では、各作品の詳細な分析を行いながら、シチュアシオニストの実践や現代アーティストの先行作品との接続を試み、修了作品の同時代性と表現の必然性について論じて