オンボーディングとは、実は〇〇の期間!人材の早期定着のコツは?
こんにちは。
株式会社アイムインのたなかるつこです。
最近、よく耳にする「オンボーディング」という言葉。みなさんはご存知でしょうか?
英語圏では、飛行機や船などに乗車する時に「乗車する(Onboarding)」という表現を使いますが、同じようにある企業に入社してから定着するまでの期間を「オンボーディング期間」と表現します。日本では、「試用期間」としてみなされる期間ともいえます。
GoogleやFacebookなどのグローバルIT企業では、早くからこの「オンボーディング」期間に着目し、新入社員の早期定着・生産性の向上につなげているといわれ、日本でもIT企業を中心に導入する企業が増えているようです。
そこで、これから数回シリーズで、「オンボーディング」について、その概念、プロセス、導入にむけたヒントなどをご紹介します!
オンボーディングとは?
オンボーディングとは、「新入社員をスムーズに社内の溶け込ませ、重要なパフォーマンスを発揮できるようにするための社内の仕組みづくり」を指します。
人材開発のプロセスにおいては、ちょうど「採用活動」と「社内のエンゲージメント向上にむけた取り組み」の間くらいに位置付けるイメージでしょうか。
オンボーディングの対象者は?隠れオンボーディングニーズも!
オンボーディングの対象となるのは、内定者、新卒社員、中途入社の社員、出向社員などが一般的です。しかし、個人的には、育休や病気など長いブランクの後に復帰した社員の方々にも、隠れオンボーディングニーズがあるのではと思っています。
オンボーディングは、「入社時」ではなく「内定後」から始まるのが特徴的です。期間は、主に90日、長くて半年から1年くらいといわれ、新入社員の場合は半年程度、中途社員は90日程度をオンボーディング期間として設定することが多いようです。
オンボーディングとオリエンテーションの違いとは?
「うちの会社では、入社時に人事が社内規定の説明やITの使い方などを説明しているので、それでいいのでは?」と思われる方もいるかもしれません。
確かに、そのような「オリエンテーション」はとても大切な取り組みです。
このようなオリエンテーションは、仕事をする上で必要な基本情報・ツール・制度について(どちらかというと)一方的に「教える」ことを目的とし、大抵の場合1-2回で終了するものです。
対して、「オンボーディング」の主目的は、「社員の情緒的コミットメント(帰属意識)を高める」ためのプロセスです。
オリエンテーションは、オンボーディング施策の一貫として組み込むことはできますが、オンボーディングはより社員の感情的変容にフォーカスした中長期感の取り組み(プロセス)としてイメージしてみるとよいでしょう。
オンボーディングがもたらすベネフィット
オンボーディングを取り入れることで、どのような効果があるのでしょうか?
以下の図はオンボーディングが企業にもたらす短期的~中長期的な効果をまとめたものです。
欧米では、「Onboarding Margin(オンボーディングマージン)」という、オンボーディングを導入することによる採用コスト抑制効果や早期定着による生産性の向上のパーセンテージなどを試算した上で、経済効果を定量的に換算する取り組みもされているようです。
▶詳細はこちらの書籍をご覧ください:Successful Onboarding: A Strategy To Unlock Hidden Value Within Your Organization
このように、オンボーディングはすぐに効果が可視化できるものではありませんが、社内で仕組み化し、継続的にとりくむことで効果がみえるものであるといえます。
なぜ、今、オンボーディングの時代なのか?ー私が考える3つの理由
私個人としては、今後このオンボーディングの取り組みが人材開発における「投資期間」として考えられると理想だと思っています。その理由を3つほどご紹介します。
理由①:企業の内側が「見られる」時代だから
終身雇用が終焉を迎えている日本では、転職が当たり前の時代となり、2020年には過去最高の転職数を記録しました。転職希望者は、スマホなどを通じて手軽に転職先を検索・応募するだけでなく、口コミ情報をもとに、「マッチングリスク」を意識しているといいます。
つまり、転職者は、企業の元従業員の口コミをもとに、企業のカルチャーや職場環境、人間関係、成長機会などをチェックし、自分と合うかを総合的に判断しているのです。このように企業の内情がオープンになってしまう時代において、入社後にどのような扱いを受けたかも赤裸々に公開されていく可能性があるといえます。
もしオンボーディングの期間が社員にとって「大切にされた」という体験であれば、(たとえその社員が退職をしても)その経験はポジティブなものとして記載される可能性があるでしょう。オンボーディングを通じて、社員のポジティブな経験を意図的につくりだすという企業の努力が必要な時代であると思います。
理由②:従業員がフィット感を確かめる時代だから
これまで、入社後の3か月間ないし6か月間は「試用期間」として、主に会社が従業員のパフォーマンスを「見定める」期間として理解されてきました。しかし、転職時代においては、「企業と従業員の双方がお互いのフィット感を確かめる」期間として意味づけが変わっていくと思います。
合わなければ「辞める」という選択肢をもつ従業員と企業との力関係は、以前より対等なものとして理解され、この期間にできる限り双方の期待値や価値観をすり合わせていく(歩み寄る)努力が必要とされているのではないでしょうか。
理由③:新入社員の即戦力化が必須だから
超少子高齢化の日本では、労働人口が減少し、AIやロボットなどに労働力が代替されていく時代です。ベテラン層がリタイアし、マネジャー層は管理者であると同時にプレイヤーであることも求められる中、新入社員をいかに即戦力として育成できるかが大きな課題となっています。
しかし、新入社員の育成はミドルマネジャーの裁量に任され、属人化される傾向が多いのではないでしょうか。そこで、オンボーディングにより社員の早期定着の「仕組み」をつくることで、少なくともマネジャーが「何をいつすべきか」が明確になり、均一化された早期定着・即戦力化が進むのではないでしょうか。
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今回は、今の時代だからこそ可能性を感じる「オンボーディング」について概念やメリットをご紹介しました!
次回は従業員の目線でのオンボーディングジャーニーや、導入における3つのプロセスをご紹介します。ぜひフォローしてみてください。
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