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紅茶詩篇『青の旅人』


 薔薇が在る場所へ辿り着いていた
 悪意に強い花を私は好きになっていた
 うつくしの夜を越えて私は辿り着いていた
 海と空が出会う場所を求めて旅をしていたら
 私が出会った早朝には薔薇が咲き乱れていた
 病が理由で光差す場所を求めて彷徨った
 月明かりの夜を海の中心に舟を浮かべて
 何処かで連絡を取り合っている空と海を
 夜を拠点にしてさすらい歩いた
 君は強すぎたんだよ
 憎しみでは歩けなくなりそうで
 怖いと思う夜にさしかかり
 倒れた朝に私の死があった
 倒れた場所が家になる
 私は夜明けに薔薇を求める旅人を待つ者になった

 青が在る場所へ辿り着いていた
 悪意に強い色を好きになるのに時間はかからなかった
 薔薇を愛していた私だったから
 静謐の砂漠を何処までも一本道を歩いて辿り着いていた
 海と空が出会う場所を求めて旅をしていたら
 私が出会った夜明けには灰色の薔薇が徐々に青くなる奇蹟が隠れていたんだ
 病魔に挫かれた人生がきっかけで光在る場所を求めて彷徨った
 月明かりの海のふもとで
 もう帰らない漣を白い砂浜に見下ろして
 本当は家族である空と海を
 夜を拠点にしてさすらい歩いた
 君はうつくしすぎたんだよ
 私の心を病魔に触れさせた者への憎しみで生きていける時間が
 もう残っていないことが怖かった
 例えしあわせになることが分かっていたとしても
 生き方を変えてしまうことは恐ろしい
 私はしあわせになろうとしていたのだ
 私が倒れた青い朝日のふもとで
 小さなおうちを建てて
 これからは私が私のような旅人を迎えるひとになるのだ
 一度は壊れてしまった心を抱えた
 たくさんの旅人がやってくる場所になるんだ

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