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庭の柚子の収穫とかつての冬至の日のこと

2024年11月末、少し早いけど、今年も庭の柚子を収穫した。
今年は3個実っていて、ようやく黄色くなってきた1つを収穫した。

柚子は食べるにはまだ青いので、お風呂に浮かべることにした。柚子はまだ小さいけど、いい匂いだ。


柚子風呂といえば思い出すのが、数年前に行った、和歌山の勝浦の温泉だ。

その名も、ホテル浦島。


バブル期にできました!!ってかんじの、とにかくやたら大きいホテルだ。山の下と山の上にそれぞれでかいホテルがあって、めちゃめちゃ長いエスカレーターでつながっている。とにかく敷地が広い。

そのホテルに行ったのは、洞窟の中にある温泉に入ってみたかったからだった。

行ってみたら、洞窟の温泉はとにかく広くて、温泉に至る通路も脱衣場も、すべて洞窟の岩肌だった。

元から洞窟があったのか、人工的にどのくらい手を加えたんだろうかと、とにかくスケールがでかく、手間が計り知れない。


温泉に入ったら、洞窟の穴からは波がザブザブと打ち寄せているのが見えて、波音がうるさいほど。とにかくすごい温泉だった。(という記憶)


ホテル浦島の洞窟温泉はそんな温泉だったんだけど、ホテル内に、洞窟温泉とは別で、少し離れた場所にも小さい内風呂があった。

たぶん名前は「ハマユウの湯」だったと思う。
小さいと言っても、一般的な旅館の内風呂くらいの大きさはあった。

洞窟温泉が目玉なので、みんなそっちに行くのと、ハマユウの湯に行くには一旦洞窟温泉を出て、服を着て、移動して、また、温泉に着いてまた服を脱いでをしなければならないという手間があるからか、私が行った時、ハマユウの湯には作業してるスタッフの人が一人いる他は、誰もいなかった。

そしてその日のハマユウの湯は、柚子湯だった。

人の出入りが少ないのか、湯気でほこほことお風呂中に満ちていて、湯船いっぱいに柚子が浮かんでいる。

「今日は冬至だからね!」と、柚子を浮かべてるのか汚れてる柚子を撤去してるのか、作業してる女性のスタッフの方が元気に言っていた。(写真を見返してみたら、その日は12/22だった。)


とにかくたくさんの柚子に囲まれて、湯気でいっぱいのお湯に私一人だけで浸かり、じんわり身体が温まる。

洞窟温泉もすごかったけど、私の記憶には、「冬至だからね!」と言ってくれた元気なスタッフの人と、そのたくさんの柚子の記憶のほうが頭に残った。

調べてみたら、冬至を境に太陽の力が甦ってくることから、陰が極まり陽にかえる、悪い事が続いた後ようやく好運に向かうという意の「一陽来復(いちようらいふく)」と言い、冬至の日を境に運が向いてくる的なことが言われているらしい。


たしかにあのたくさんの柚子と、元気に冬至の準備をしてくれているスタッフのかたがいたら、悪い運も良い運になりそうだ。



文豪の人ならここで何かしらの符号を見いだしたりするのかもしれないけど、私にはとくに見いだせず。

ただ冬の日、柚子のお風呂に入ると、なんとなくホテル浦島のスケールのでかさと、たくさんの柚子に一人で囲まれた冬至の日をなんとなく思い出して、前向きな気持ちになる。

浦島の浴衣はカメ柄だった
部屋の窓一面、海だった
ホテルから少し離れた海辺を歩いた、すごい場所だった
太地町立くじら博物館にはたくさんイルカがいた


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