アレン様が赤点ギャルを東大に合格させる話
エリザベス個人指導塾の奇跡
第一話
あたしは、マキ。エリザベス個別指導塾に通う、女子高生だ。
「ァンタ、東大めざしなョッ…💋✨」
アレン先生が言った。
「えー無理だょ。あたし今回のテストも赤点だし」
エリザベス個別指導塾では、保健体育しか教えてくれないから、今回の数学のテストは散々だった。でも、教えてくれたとしても、あたしはどうせできないよ。
「ァンタ、無理って言わない方がいいよ。あと、敬語つかってね」
「えー無理だょ」
「ヴォイ‼️😡敬語使え‼️おまえに東大は無理だよ‼️まきグソやろう💩」
アレン様大先生が机を叩くと、前の席のベンくんがビクリと体を震わせた。
ベンくんはあたしの一個下で、エリザベス個別指導塾にはあたしとベン君しか通っていない。
「ちょっ㌧(笑)超ウケる(笑)ァンタ、ビクってなってたょ(笑)」
アレン先生はケラケラと笑った。
あたしが東大かぁ、受験まで半年。間に合うのかな。
あたしは、帰り道もそのことをずっと考えてた。
「まきさん、」
ベンくんだ。
「まきさん、東大にいくんですか?」
「そんなわけないでしょ、アレン先生は、あたしをからかってるんだょ」
誰にも言ってないけれど、あたしはベン君が好きだ。
「そんなことないと思います。アレン先生は、嘘は絶対につかないから。」
ベン君は立ち止まった。
「まきさんは、絶対東大に行けますよ。」
第二話
今日はアレン先生の機嫌が一段と良い。話しかけてみよう。
「アレン先生、なにかいいことあったんですか?」
「ァンタ、忘れたの⁉️今日の授業は、保健体育❗️」
いつも保健体育である。
「しかも、思春期の体と心の変化❤️をやるわぇ✨」
アレン先生は極上の笑顔でそう言った。
授業がはじまると、アレン先生はまず男性の体の変化について解説した。
「男性っていうのは、自慰行為でも射精するんです…✨」
ベン君は顔を赤らめて下を向いている。ベン君も射精するのだろうか。
「ベン君、チンポ出してごらん。」
ベン君は驚いて、
「それはできません!」
と言った。
「あのさ、まきチャンちょっと退出して。ァンタは別室でプリントやってね(早口)」
アレン先生に渡されたプリントにはなにやら絵文字や半角カナがたくさん並んでいる。
「これ、なんのプリントですか、?」
「ァンタ、🌰🈵語知らなぃの⁉️呆れた💧東大受けるんじゃろがいな❣️今年の共通テストでは、🌰🈵語と保健体育も選択できるんだょ」
あたしは、東大受けるなんて一言もいってないのに。でも、アレン先生に逆らうことは許されない。あたしは🌰🈵語のプリントを解いてみることにした。
第三話
🌰🈵語は、びっくりするくらい理解できて、問題もスラスラ解けた。
「アレン先生、次のプリントお願いします」
教室にプリントを貰いに行くと、アレン先生は聖母のように微笑んだ。
「ァンタ、やるじゃん。」
次のプリントも、その次のプリントも、どんどん解いた。どんどん解けた。そしたら、なぜかプリントに水滴が垂れていた。
「…なんであたし、泣いてるんだろ」
水滴はあたしの涙だった。
あたしは自分に自信がなかった。「どうせあたしなんか」それが口癖だった。でも、違かった。
アレン先生のおっしゃることは全て正しかった。あたしには🌰🈵語がある。そう気づいた。
悲しみ以外の理由で、あたしは初めて涙を流した。
次の日もその次の日も、あたしはアレン先生が作ったプリントを解き続けた。そして、共通テスト前日。
「アレン先生、このドッグフードってどういう意味ですか?」
「聞いてどうすンの。それより、ァンタに質問。歯を14〜20本、全部抜いてくださいって言われたら、抜く?」
「えっと…」
「歯を抜くかー⁉️」
翌日の試験であたしは満点を取って、東大に合格した。
おしまい
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