学生相談室【1/17】
今週はMMPI(多面的な項目からこころの状態を測定する心理検査のひとつ)を受ける心構えで面接室に向かったものの、負担が大きいからということで、代わりに風景構成法という心理検査をすることになった。
内容は一枚の紙に木や家、石など複数の物体を書いて風景を完成させるというものだ。
指示されたもの以外にも足したかったら足してもいいと言われたので、以前飼っていた実家の猫と、今は亡き祖母を書いた。
大好きだった愛猫、ララの事を誰かに話すのは久しぶりだった。そもそもララの事を書こうと思ったのは、ちょうど彼が昨晩夢に出てきたからだった。ララの夢は亡くなった直後は頻繁に見ていたが、旅経って3年になる今ではもうほとんど見ない。しかし昨晩の夢に現れたララはとてもリアルで、ベッドで寝ていた私の上で一緒に寝ていて、夢の中の私は彼の重みもちゃんと感じていた。ここのところ精神状態が良くなかった私を心配して見にきてくれたのかもしれない。
心理検査を行いつつ、感情の波がとても激しいこと、保健センターの看護師さんに救われたこと、転院可能な病院を探す努力をする気力がないこと、破壊衝動や他害衝動が再び出始めていること、留学中に出会った海外の友人に救われていること、桜を見るまでは生きていようと思ったり思わなかったり…といった心情を吐露した。心理検査の結果を聞くまでは生きていようと思っていること、それを聞く事以外にこの世に未練はないという思いを先生に伝えたところ、それならあなたが80歳になるまで伝えないでおこうかな、と言われた。それを聞いて「どう考えても先生の方が先に死んじゃいますよね笑」とつっこんだら、笑ってくれた。(准教授でもあるカウンセラーの先生にはつい砕けた口調になってしまうけれど、今考えると普通に失礼…汗)
先生は「死なないで」とは言わず「あなたが死んでほしくはないので」と言ってくれた。「死なないで」と言われるよりも、こっちの方が嬉しい。そして、親が悲しむ事は考えないの?と聞かれて「もちろん考えるけれど、それでもなお苦しさが勝ってしまう」と答えた時に、「本当に苦しいんだね」とそっと私の気持ちに寄り添ってくれた。そして、「その苦しさに一緒に向き合っていきたいと私は思っているよ」と手を差し伸べてくれた。
生きるモチベーションについても話した。モチベーションというとすごく「大きなもの」のように感じるよね、と先生は言っていた。先生に、「生きるためのモチベーションとか、楽しいことってありますか?」と聞いてみると、「楽しいこともあれば、もちろん大変なこともたくさんあるよ」と一言。どんな質問を投げかけたのかは思い出せないが先生は、「私は生きてるから(きっとニュアンス的には「たまたまこの世に生を受けたから」)生きているの。今日のお昼何食べようかな、とかそんな小さな事の積み重ねが「生きること」なんじゃないかな。相談に来る学生さんがいる限り、死ねないよね」と言っていたのが印象に残っている。
話は変わるが最近、「ケアしケアされ生きてゆく」という本を読んだ。鬱で視野が狭くなってしまっている時には考えられないけれど、私は本当に様々な人に助けられ、ケアされて生きてきた事を実感する。
私を取り上げてくれたイギリスの助産師さんから始まって、両親に今は亡きおばあちゃん、今も健在のおじいちゃん、親戚、友人、先生たち、留学先で出会った人々、お医者さん、看護師さん、心理士の先生をはじめ、様々な人たちが「ケア」のバトンを引き継いで22年もの間わたしを守ってきてくれた。そのおかげで私はまだこの世界に存在し続けている。私も誰かにとってのバトンを引き渡す存在でありたいし、そうあれたらきっと、生きる希望も少しは湧いてくるのかもしれない。
今は一日一日を生き延びることで精一杯だけれど、来週は心理検査の結果が聞ける事を信じてもうちょっとだけ頑張る。