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エジプト・カイロ旅行記【搭乗、入国編】

未知の大陸、アフリカへ

21歳の夏。まさか自分の目でピラミッドを見る日が来るとは思ってもいなかったが、ご縁がありエジプト行きが決まった。ルーマニア留学中に寮で同室だったルームメイトがエジプト人で、帰国前に首都カイロに住む彼女を訪ねる事にしたのである。

スペインからエジプトへ

ルーマニア留学終了後にヨーロッパを旅していた私は、スペインの首都マドリードからカイロへの航空券を購入した。今回搭乗するのはスペイン発のLCCである、イベリアエクスプレス。マドリードのバラハス空港は非常に大きく、ローコストの航空会社を利用した事もあり、保安検査と出国審査にかなり時間がかかった。定刻の2時間半ほど前に到着してすぐにカウンターへ向かい、寄り道せずに保安検査を受けてもゲートに到着したのはちょうど搭乗開始のタイミングだった。バラハス空港を利用する人には遅くとも3時間前の到着をお勧めする。

満席だった飛行機

ハイシーズンという事もあってかこの日の便は満席。座席上の棚に全員分の荷物が入らない可能性が高いということで、その日の搭乗予定者全員に、追加で無料の受託手荷物の枠が与えられる旨のメールが届いていた。4ヶ月の留学を終え荷物が多いのにも関わらずスーツケース一つでなんとか旅を続けていた私にはこれが大変ありがたかった。受託手荷物の制限重量21キロに収まらないことは明白だったからである。何も考えず全てを詰め込んだスーツケースをカウンターに持って行ったところ案の定26キロ。5キロもオーバーしていたが、グランドスタッフの陽気な男性は、最低でも2キロは出してね、と笑いながらシールを発行してくれた。私の荷物を重くしている最大の原因である本を取り出して、やっとのことリュックに押し込む。最終的に10キロのリュックと22キロ近いスーツケースを預け、パソコンとお土産のお菓子が入った紙袋を抱え搭乗口に向かった。

飛行機の窓から見た夕暮れ


クレタ島と夕暮れ

追加料金を避けるため普段は飛行機の座席を行わない私。今回は運良く窓際の座席が割り当てられた。マドリードを離陸してから30分もしないうちにイベリア半島は見えなくなり、しばらくするとイタリア南部が見えてきた。ブーツのようなイタリア半島だが、ルートを確認すると足の表面あたり(カラブリアのどこか)を通っていた。イタリア半島もすぐに見えなくなり、しばらくすると今度はギリシャのクレタ島が現れた。クレタ島に差し掛かったあたりで空はちょうど夕暮れ。海岸周辺に見えた無数の灯りがなんとも幻想的だった。

エジプトの夜景


カイロ近くの夜景。前方に見えるブロックはエジプトで典型的なアパート

クレタ島周辺で夕暮れを見届け空が真っ暗になってから約30分後。ついにアフリカ大陸が見えてきた!海岸線からエジプトの領空に入ってからカイロまではあっという間で、カイロに近づくにつれ増えていく無数の灯りと真っ暗な土地に見惚れているうちに、飛行機はカイロ国際空港に着陸した。

エジプト入国


入国審査待ちの列

飛行機が着陸したのは午後10時。飛行機から降りターミナルに入った途端、長蛇の列が見えた。ビザ購入待ちの列である。日本ではあまり知られていないと思うが、外国人がエジプトに入国する際にはビザが必要で、ビザ発行料として25米ドルの支払い(現金のみ)が求められる。エジプトは観光が主要産業の一つであり、外国人からとにかくお金を巻き上げる国だ。入国料の支払いから始まり、主要観光地でもエジプト人価格と外国人価格が設けられているのが一般的である。(外国人価格はエジプト人価格の4〜10倍程度。場所による)ようやくビザを手に入れたら次は入国審査である。入国審査のカウンターが二つしか空いていなかった上にエジプト人と外国人で並び列が分かれておらず、またしても長蛇の列ができていた。アラブ人の家族に何度も横入りされ、自分の番が来ても後ろにいた人に抜かされそうになる。命からがらカウンターに辿り着き入国審査官にパスポートを見せると、ビザのシールが貼ってある事をチェックされただけで、滞在目的や滞在先等は一切聞かれなかった。

ルームメイトと2週間ぶりの再会


ひかりが贈ってくれたバラの花束

無事入国審査を終え、到着ロビーへ。この時点で携帯のバッテリー残量は2%。モバ充を持参していたがこんな時に限って前日にケーブルが壊れてしまい、使用不可能だったためだ。第3ターミナル到着口の階段近くにいる事、携帯が死にかけで連絡が取れなくなる可能性があるという遺言をルームメイトに残したところで、ちょうどバッテリーが尽きた。ちゃんと空気を読んで遺言を残すまで携帯が待ってくれたのが不幸中の幸いだ。待つこと約20分。少なくとも10人のタクシーのうんちゃんに客引きされた気がする(笑)少し不安になり始めていたその時、見覚えのある姿が!彼女の名前(Nour【ヌル】という彼女の名はアラビア語で「光」を意味するため、以下「ひかり」と呼ぶことにする)を叫ぶが、私の声は人ごみの中に消え届かない。キャリーケースを引きずりながら、もう一度ありったけの声で「ひかり…!!!」と叫んでみるが、振り絞った声はまたしても喧騒に消えてしまう。やっとの思いで彼女に追いつき気づいてもらえ、ルーマニアで別れてから2週間ぶりの再会を果たした。運転して迎えに来てくれたひかりのご両親にも挨拶をし、車に乗る。この時点で時刻は12時半くらい。5日間の今回の旅では、空港近くにあるひかりのご両親のアパートメントに全日程滞在させてもらうことになっている。まっすぐアパートに向かうと思いきや、お腹空いたでしょ?と気を遣ってくれたひかりのお母さんの提案で、腹ごしらえをしてからアパートに向かうことに。

深夜2時のマーケット

車を走らせる事数十分、屋外商店街のようなマーケットに到着した。午前2時にも関わらずお店は全て空いており、非常に賑やかだ。レストランにもたくさんの客がいて、本当にびっくりした。午前2時に食事ができる国、エジプト。私とひかりがおやつを食べている間に、ひかりの父がふらっと姿を消したのでどこに行ったと思ったら、なんと床屋に髭を剃りに行っていたというから驚きである。満足げな表情を浮かべ戻ってきたと思ったら、料金を支払にまた床屋へ戻っていった。周りを見渡すと目の前には香水屋が。人もそこそこ入っている。午前2時に香水の香り比べもできてしまうのだ。

イスラム圏の洗礼

そんなこんなでひかりのご両親のアパートに到着し、寝る支度を済ませ眠りにつこうとしたその瞬間、窓の外から聞きなれない音が。イスラム教国のアラブの国では一般的な、祈祷時間を告げる放送である。その時時刻は午前4時半頃、夜明け前の祈りの時間だ。去年の夏にはマレーシア旅行に行ったためイスラム教国を訪れるのは初めてではなかったが、マレーシアではこのような放送は耳にしなかったためとても新鮮だった。日本とは全く異なる文化圏に来たことを実感しつつ、ようやく長い1日を終え眠りについたのであった…【つづく】

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