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140字小説 「見知らぬ鏡台」

男がアパートに入居した日、部屋に鏡台が置かれていた。内見時は存在せず、大家に報告するとそのままにと頼み込まれた。家賃を下げてくれたので仕方なく放置する。翌日、鏡台にべったり口紅が塗りたくられていた。男は即日引き払うが違約金は発生しなかった。大家は、行ったか、と男の背中を見つめた。


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