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140字小説 「沖釣り」

ボートに乗りかけていた釣り人に、背後から老人が声をかけた。「昔、沖合で船が座礁したんだ」「へえー」煩わしそうな釣り人に老人は続ける。「救助が着くと、誰も乗ってなかった」「え?」「しかも救助の船も沈んで、生き残った奴も腕を挟まれた」釣り人は振り返る。「気をつけな」老人は隻腕だった。

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