毎日がまっさらな、"はじめての日"。新しい年に寄せて。
みなさま、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
"良い一年だったな。明日も仕事だけど、頑張れそう"
そう思いながら眠りについた大みそかの日の、翌朝。
すっきりと目覚め、アラームが鳴る前に起きることができたと思いながら時計を見ると、いつもより30分ほど遅い時間。
目覚まし時計をセットし忘れ、寝過ごして元旦を迎えたのでした。
時間に余裕を持って起きる習慣なので、始業時刻には間に合います。だから、慌てなくて大丈夫。でも寝過ごすことなんて年に一度あるかないかなのに、まさか今日とは…、なんて考えつつ身支度を整えていると、なんだかおかしくなってきて、ひとりで笑ってしまいました。
翌日も出勤だと思いながら、大みそかの晩に夜更かしをしてしまったのは、秋に購入した、いしいしんじさんの「きんじよ」を読み返していたから。
いしいしんじさんがえがく、ご家族と、そしてこの街に暮らす人々と共におくる京都での日々。
息子さんのひとひくん(お会いしたこともないのに、親しみをこめてくん付けでお呼びしてしまう)の目を通して見る"きんじよ"の姿は、日常のなにげない光景もきらきらとしていて、ふわりと頬をくすぐる風をも感じるような心地になります。
誠光社。京都BALの丸善。岡崎の蔦屋書店。
ページをめくればその名前に出会う、おなじみの本屋さんの数々。
いしいさんはその本屋さんの、はじまりの日についても書かれていて、思えばわたしがこの街で暮らすようになってから、当たりまえのように訪れている本屋さんにも、"はじめましての日"があったのだな、と感慨深くなりました。
そして、はじめて、ということは、特別な日に限ったことではありません。
新年は、新しい年の始まりだからと、すっと背筋が伸びる心持ちになるけれど、日々を重ねるなかで、今日が昨日の続きのように、毎日が同じことの繰り返しのように感じられてしまうこともあります。
でも本当はそうではなくて、子どもだけではなく、大人だって、毎日が人生で初めて出会う、まっさらな"はじめての日"。
何事もなく朝が迎えられるのは、当たりまえではなく、奇跡のような出来事なのだと思うのです。
その気持ちを忘れないように、日々を大切にしたい。
そんなふうに思いながら、おだやかさに満ちた朝の空気のなか、職場へ向けて足を進めるのでした。
昨年はたくさんの方との素敵な出会いに恵まれ、ご縁に感謝する日々をおくることができました。
今年もみなさまが出会う毎日が、和やかで、きらめきに満ちたものとなりますように。