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本ではなくても、読むこと、そして想像すること。

ケーキ屋さんでケーキを選ぶとき、プライスカードに添えられた文章を読むのが好きです。

作り手の方の思いやこだわり、素材の美味しさについて書かれているのを読むと、食べる前から楽しい気持ちになります。
自分が食べたことのないものが使われていると、興味をひかれてそのケーキを買ってみたり。

10年くらい前に、母親と母親の友人の方と一緒に神戸に遊びに行ったときに、ケーキが美味しいので有名なカフェに入りました。
「このロールケーキ、フルーツいっぱいでめっちゃかわいいなぁ!」「こっちのイチゴとベリーのタルトもきれいやでー」と、母親と友人の方がショーケースの前で賑やかに話しているとなりで、プライスカードをじっくりと読むわたし。

席につき、わたしの前に運ばれてきた落ち着いた色あいのタルトを見て、「夏樹ちゃん何にしたん?」と聞かれました。
「ナッツのタルト。ピスタチオとヘーゼルナッツとアーモンドが入ってるって書いてて。ピスタチオって食べたことないし、どんな味か気になったから」と答えると、ふたりで顔を見合わせて、「なんか、うちらより大人やなぁ」と言われたのを、今でもよく覚えています。

ごはんを食べに行ったときに、メニュー帳やお品書きをながめるのも好きです。
手書きのイラストが添えられているものには特に心を惹かれるのですが、"微風台南"という京都市内にある台湾料理屋さんのメニュー帳は、なかでもお気に入り。
イラストや漢字の並びから、どんな料理なんだろう…、と想像する時間が楽しいのですよね。

こうしてみるとやっぱり、本に限らず、紙の印刷物に愛着を感じるなぁ、と思います。
文章はもちろん、たたずまいにも心惹かれるもの。

たとえば、カフェやお菓子屋さんのショップカードも、ついつい手元に置きたくなってしまう。
本に付属のしおりやスピンがないときは、しおり代わりにしています。
ページにショップカードをそっとはさんだときに、そのお店の珈琲やお菓子の美味しさを思い出すのも、こころ和むひとときです。


ながめるのが楽しいカードの数々。

写真にあるカードのなかの"efish"はすでに閉店してしまったカフェです。
一度だけ訪れたことがあるのですが、大きな窓から鴨川が望めて、お料理や珈琲も美味しい素敵なお店でした。

実は、古本屋さんで買った本のページのあいだにはさまれていたもので、そのときはすでにお店が閉店したあとだったので、感慨深いものを感じました。
"この本を持っていたひとも、efishが好きだったのかなぁ"なんて想像をして。
小さな紙片は、そんな思わぬめぐりあわせも運んでくるのでした。

最後まで読んで下さり、ありがとうございます。 あなたの毎日が、素敵なものでありますように☺️