解決策はあるのか!?授業中に離席してしまう子〜対応&結果編〜
前回の続き、Dくんの事例の対応&結果編です。
※実際の事例を元にフィクションしたものを掲載します。
【対応】
①特性のチェックをする。
「お子さんは多動傾向があるので、診断を受けてください!」とは、いくらなんでも言えませんよね。
そこで、まずは学校にある簡易なチェックリストで、発達の遅れや多動傾向があるかどうかを、普段の生活の様子からチェックをしました。
すると、Dくんには多動傾向に加え、言語発達の難しさも明らかになりました。
何となくではなく、データとして取ると、他の先生とも共有しやすく、根拠のある対応に繋がるのでおすすめです。
②刺激の少ない環境にする。
Dくんの周りはよく物が散らかっています。綺麗にしても数分後には元通りです。
しかしDくんの特性を踏まえると、外部刺激に反応し、多動傾向が促進されてしまう可能性も考えられます。
そこで、物を置く場所を徹底し、授業を受ける机の周りには物を置かず、できるだけ他の人や物が視界に入りづらい座席にしました。
③やることの手順や方法を伝える。
①のチェックにより、言語発達の難しさも明らかになりました。
前回の記事の仮説の通り、授業内容ややることの理解が難しいことからの離席が考えられます。
そこで、「①初めの部分だから、紹介したいことを書くよ。②は…」というように簡単な手順を教えます。
それでも難しい場合は「初めにはDくんが紹介したいことを書くから、僕は〜について紹介します、と書くよ。Dくんは何について紹介するんだっけ?」と具体的な書き方(=方法)を伝えます。
④担任を呼ぶ方法を教える。
手順や方法を教えても、どこかで分からないところが出てくる可能性は大いにあります。
そこで、「分からなくなったら、手を挙げて『先生』って呼んでね。」と担任を呼ぶ方法を教えます。
毎回同じ方法で担任に援助希求をしていると、こうやって呼べば先生が来てくれる!と、定着も早くなります。
また、「ここまでできたら手を挙げて教えてね。そしたら次やることを伝えるね。」としておくことで、終わって暇だから離席するということも防げるようになります。
ここで注意したいことは、正しい方法で呼ばれたら絶対にDくんの元へ向かうということです。
呼んでも来ないとなると、"じゃあ友達の元へ"となってしまう可能性が高いからです。
とはいえ、すぐには向かえない時もありますよね。
そんな時はすぐに、
「いい方法で呼んでくれてありがとう。〜さんの次に行くから待っててね。」と、後からDくんの元へ向かうことを伝えることが大切です。
【結果と成長】
◎授業に参加するようになった。
分からないことは、聞けば教えてもらえるという経験の積み重ねから、自分も分かる、できる、参加できる!と思えるようになったDくん。
まだまだ拙い表現であったり、集中が長続きしないところもありますが、授業に参加し発言し、みんなに説明する。
そんな姿も見られるようになりました。
元々、一緒に授業に参加したかったんだよなぁと、こちらも嬉しくなりました。
◎離席が減った。
授業が分かって参加できる+手を挙げて「先生!」と呼べば、先生は来てくれる。
この2点を理解し経験したことにより、格段に離席が減りました。
特性もあるので全く離席しないわけではないですが、
離席した時には、「どうしたの?」や「分からない時どうするんだっけ?」と聞くことにより、
自分で「あっ!」と気付いて、
「せんせぇ〜〜〜!!!」
と手を挙げて特大ボイスで呼んでくれます(笑)
声の大きさを考えるというのは、また新たな課題なのかもしれません(笑)
◎周りの友達が教えてくれるようになった。
これはDくんのことではなく副次的ですが、クラスの子どもたちの表れです。
Dくんがむやみやたらに邪魔をしに来ているのではなく、授業に参加しようとしている、分かろうとしていることが伝わった結果、
「分かる?」「教えようか?」と声をかける友達が増えました。
こちらも思わぬ、嬉しい変化でした。
Dくんの事例は以上です。
今回は、
・データの分析により、特性を見つける
・正しい手順や方法を具体的に教える
ことで、Dくんの困り感にアプローチしました。
離席して困るのは大人の事情であり、"何かに困っているから離席してしまう"という子どもの困り感に寄り添うことが大切なのだと、改めて実感した事例でした。
離席の理由はそれぞれですが、少しでも参考になれば幸いです!
最後までお読みいただきありがとうございました!