夢の衣
過ぎ去りし想い出が
夢に現れた時
バウムクーヘンのように
身心を構成する層*の中の
知的な領域では
「これは記憶の再生作用だ」と
認識する一方
より内側の領域では
まるで
神さまから
贈り物を与えられたような気がして
初夏の小川のようなきらめきが
こんこんと沸き出す
薄暗い部屋の
カーテンを開け
東の空へ捧げる
スーリヤ・ナマスカーラ**
あなたの世界の人たちも
わたしの世界の人たちも
誰ひとり
悲しむことのない
三つ目の世界
そんな世界の主(あるじ)で
わたしはありたい
胸の前で手を合わせ
頭を垂れる
すぐにマットをくるくると巻いて
息子のお弁当を用意すべく
いつものキッチンへ
微睡みの世界からもたらされた
ほのかなきらめきの衣を纏いながら
一日が始まる
*パンチャコーシャ(五つの鞘)と呼ばれるヨガの身体観に基づく。本来の自分自身(真我)を中心として、外側から①肉体を形成する鞘であるアンナマヤ・コーシャ、②プラーナ(生命のエネルギー)から構成されるエネルギーの層であるプラーナマヤ・コーシャ、③外からの刺激や出来事に反応する感情の層であるマノマヤ・コーシャ、④自らの感情を決定し、判断する知性の層であるヴィジュナーナマヤ・コーシャ、⑤歓喜や幸せに満ちた層であるアーナンダマヤ・コーシャと呼ばれる層から成る。
**ヨガにおける太陽礼拝を指す。感謝とともに太陽に祈る動作で、ヨガクラスの初めなどに行われる。連続した12のポーズをとることで、「一日の始まりに、太陽に挨拶し、その恵みに感謝する」という意味がある。