マガジンのカバー画像

自作小説

14
絵描きで小説書きな私の自作小説をまとめました。ジャンルはさまざま✿ 自作小説のコミカライズ単行本「魔王の庭の白い花」(一迅社)発売中です。(作画:十屋つぐみ先生)
運営しているクリエイター

記事一覧

連理の契りを君と知る episode7(最終話)「連理の契りを君と知る」

←episode6「静雪が包む夜に」 1 椿月はあの頃の夢を見た。  毎夜、こっそりと会うあの…

瑠璃森しき花
4か月前
7

【小説】連理の契りを君と知る episode6「静雪が包む夜に」

←episode5「花の過去」 1「本当の君とでないと、私は演(や)らない」  繁華街の往来の…

瑠璃森しき花
4か月前
3

【小説】連理の契りを君と知る episode1「あなたに出会う日」

本作は私が2017~2022年にかけて執筆した短編連作の恋愛小説です。 episodeは全部で7つで、完結…

瑠璃森しき花
7か月前
4

【小説】連理の契りを君と知る episode2「文字は口ほどに物を言う」

←episode1「あなたに出会う日」 1 地面を埋め尽くしていた桜の花びらが姿を消し、草木の…

瑠璃森しき花
6か月前
6

【小説】連理の契りを君と知る episode3「夏の手紙」

←episode2「文字は口ほどに物を言う」 1――どうしてこんなことになってしまったのだろう…

瑠璃森しき花
6か月前
4

【小説】連理の契りを君と知る episode4「思いは時を越えて」

←episode3「夏の手紙」 1「これからしばらく、会いに来られません」  突然告げられた言…

瑠璃森しき花
5か月前
7

【小説】連理の契りを君と知る episode5「花の過去」

←episode4「思いは時を越えて」 1 誠一郎がいつものように椿月に会うため劇場を訪ねたとき。出演者楽屋などが並ぶ関係者通路一帯はやけに人の出入りが多く、慌しかった。  各所から「あったか?!」「書類庫も全部開けて探して! 衣装室も!」などと、焦りに追い立てられている声がする。  一応は館長に許可を得てここまで来たものの、これだけの取り込み中なのであれば出直したほうがいいだろうか、と思ったのだが。 「誠一郎さん?」  立ち尽くしていた誠一郎に声をかけたのは、劇場

短編小説『魔王の庭の白い花』1

 満月が煌々と照らす不気味な古城。  人を喰らうという獣たちが徘徊する深い森の真ん中にひ…

2

短編小説『魔王の庭の白い花』2

「ど、どういうことだ……」  翌朝、男はある知らせを受けて狼狽していた。 「ちゃんと私の…

4

短編小説『魔王の庭の白い花』3

 それから男は怪訝な顔をする召使たちを尻目に、暇さえあれば厨房で本格的に人間の料理の勉強…

1

短編小説『魔王の庭の白い花』4

「ごちそうさま」 「ありがとう」 「おいしかったです」  シンプルに一言だけ。大した言葉…

4

短編小説『魔王の庭の白い花』5

 男は本屋に入ると片っ端から本を開いていった。  彼女が話すことが出来ない原因を調べるた…

6

短編小説『魔王の庭の白い花』6

「うっわ、地味な城……。うちの馬小屋の方がまだマシじゃね?」  日光に輝くきらびやかな鎧…

9

短編小説『魔王の庭の白い花』7(完)

「これはもうちょっとお塩を多めにした方がいいのよ、煮込んでると水分が増えるから」 「おお、そうなのか。君と料理をすると勉強になる」  二人はまた召使たちに無理を言って、厨房で一緒に料理をしていた。 「勉強しなくたって、私が作れるからいいのに」 「いや、私が作れないと意味がないんだ。君のために私がしてやれることはとても少ない、できることはなるべく沢山してやれるようになっておきたいんだ」  そう微笑む男につられるように、女も笑顔を浮かべた。  我々の仕事がなくなってし