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自灯明法灯明 Podcast #10 Shannon M Whitakerさん Part 2

このPodcastでは、私がスティーブン・バチェラーさんのセキュラーな仏教のプログラムで出会った欧米の方々にインタビューをしていきます。先週に引き続き、Shannon M Whitakerさんにお話を伺います。(第2回、全3回)

英語+日本語版(逐次通訳)

英語版

Shannon M Whitakerさんは、現在はアメリカの西海岸にいらっしゃいます。海軍の退役後にフランスに留学して哲学を学び、現在は、ご自身がデザインした博士課程で仏法を学びながら、その一環として、Podcastの配信、ブログの発信をされています。Shannonさんはスティーブン・バチェラーさんのプログラム参加者のオンラインコミュニティを発案し、運営事務局として様々な議論を促す役割も担われました。このインタビューのシリーズも、このコミュニティのおかげで成り立っています。

Dharma PhD - Podcast and Blogs

今回のShannonさんのお話から、印象に残ったところを取り上げてみます。

セキュラーな仏教というと、宗教性を取り除いたという意味合いでは、マインドフルネスが最も主流です。私自身、マインドフルネスに基づくストレス軽減プログラム(Mindfulness Based Stress Reduction, MBSR)コースで学び、講師の資格も取得して、実際に教えてもいました。ただ、私にとっては、倫理的な面が十分ではないと感じるようになったのです。狙撃犯が学んだらどうするのかというような批判も、そんな方向性はないと当初は無視していましたが、それは起こり得るのです。だとしたら、そもそも誰にも教えるべきではないかもしれないのです。ゴータマは、軍人にも、王にも、巧みに教えていたのです。アメリカでは、マインドフルネスは、気持ちをコントロールしてどうしようもない仕事にも耐えられるために使われていると感じます。病院で教えていた時には、医療関係者は、どうしようもない仕事を楽に感じられるようにすることを期待していました。でも、私は、そのどうしようもなさを受け止めて、自ら変わってほしいと考えていたのです。この方向性の違いに気がついて、マインドフルネスを教えることをやめました。

徐々に仏法を学問として探究したいと思うようになり、初期の教え、認知科学、瞑想の実践を組み合わせて探究できるような大学院を探したのですが、ありませんでした。それで、独立した自分の博士課程を作ってみることに思い至ったのです。研究すること、教えること、実践すること、対話をすることを4、5年やってみて、最終的に本にまとめること(誰も読まなくても)だと思ったのです。考えてみてください。映画や動画を見る時間や、ちょっと楽しくなるようなことにかけるお金を、自分の興味の探究のために4年間かけてみるのです。人生を変えることになるかもしれません。特定の興味にしっかりと注意を向けることで、色々な機会があることに気が付けるようになるのです。独立した自分の博士課程に取り組むことにして、偶然に尊敬する作家のSeth Godinさんのオンラインの文章講座を知ってストーリーテリングを学び、Podcastの制作の講座につながって、今やブログやPodcastで発信するようになったのです。

私の向かっている先とは、どうしたらよく生きることができるかを学ぶというその一点です。私だけのためだけではなくて、他の人の助けになるようにと思っています。仏教の概念である「受」という外部と触れたことを感じること、快を感じることを本にまとめることで、他者のためにも、地球のためにも、満たされたよい人生を送ることができるようになればと思っています。多分、そういう本ができると思っています。

参考

四無量心 Brahma Vehara
他の生命に対する自他怨親なく平等で、過度の心配などのない、落ち着いた気持ちを持つことをいう。

受 Vedana 
触れたことを感じること

John Peacock

Seth Godin

参考:スティーブン・バチェラー Stephen Bachelor
イギリスの仏教者、瞑想指導者。初期の経典(パーリ仏典)に遡り、仏法(Dharma)を現代に生かすための再解釈を行なってきた。チベット仏教僧、禅僧としての修行・指導を経て、ヨーロッパを拠点とした瞑想指導を行いながら、1980年代から、欧米におけるセキュラーな仏教(宗教性のない、世俗的な、時代にあった仏教)を牽引している。邦訳に、ダルマの実践(四季社、2002年)、藤田一照訳(原著:1998年 Buddhism without Beliefs - a contemporary guide to awakening -)がある。

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