見出し画像

「劇映画 孤独のグルメ」見終わった後にとってもハートフルになる飯テロ映画

正直、思ったよりもよくできているというか、ハートフルな素敵な映画であった。主演、脚本、監督と三役やったからこそ、こういうものができたとも言えるのか?なかなか正月に見るにはおすすめの映画でした。そして、「グランメゾン・パリ」と比べどっちが終わった後に腹が減ったかというとこちらですよね。見終わってラーメン食べた方は多いだろう。ということで、この後ネタバレ書きますので注意!

まずは機内から始まる流れ、いつものように二択でも迷う井之頭五郎。しかし、乗っている飛行機はJALだが、ビーフシチューか焼き鳥丼かみたいな機内食の選択は本当にあるのか?まあ、洋食か和食かという選択なので妥当にも見えるのですがね。そして、ビーガンの方にはね・・。そんなことより、ここで機内が揺れる放送で寝てしまい機内食を食いそびれる五郎さん。食だけが生きがいの彼には酷な話だ。

ここで一回、タイトルがフランス語で入る。そう、着いたところはパリ。で、エッフェル塔をバックに腹へったというセリフ。レストランを外から覗いて入る。そう、外国行ったら店内見て決めるのが一番良い。ここで、オニオンスープが美味しそう。ここで出てくるくらいたっぷりのオニオングラタンスープ食ってみたいと思った。その店を覗く、五郎さんのクライアントの杏。彼女、向こうに住んでるわけで安上がりなキャスティング。で、彼女、最初誰だかよくわからなかった。ちょっとふくよかになったのは、イカれた男から解放されたからか?まあ、私が可愛いと思える感じに変化していたということだ。そして、五郎さんとの背格好がちょうど良い感じ。そこに、五郎は杏の祖父の塩見三省に頼まれた画を持ってきたのだった。なぜにわざわざ直接という話はなかったが、映画だから、そのくらい予算使っちゃえとしか考えられない状況は好き!そこで、この映画のテーマとなる、塩見が昔母親に作ってもらったスープを探してくれと言われ、旅が始まるのだ。そのフックのオニオングラタンスープだったのね。すこぶる映画的な展開であり、映画で「あの料理店を探せ」みたいな感じでなかったのはよかった。

そして、舞台は日本の長崎、五島に!ここで日本語タイトルも出てくる。五島で聞きまわるも皆からのヒントでなかなかそれらしいものがない。唯一、深海魚の出汁の話があり、それを買いに行こうとすると、フェリーがなくて、自分でパドリングボートで島を渡ろうとするという、あり得ない状況。こういう無理な映画的なシーンはただ面白いだけである。

そして、台風も来ていたようで嵐にあって漂流。そこで、浜辺にガスコンロを見つけ、海辺で拾った貝ときのこで自炊を始める。何を考えてるのだ?いや、彼は空腹では何も考えられないのでこれでいいのだろう。そして、何にあたったのか知らないが、食中毒で倒れる。

目覚めると、そこは韓国の島だとわかる。で、たまたま、日本人の内田有紀がいて助かる。内田と一緒に五郎の話を聞く韓国人は日本で歌手活動しているチューニでしたね。もっと、目立たせてもよかったのに。というよりも、内田有紀は綺麗でとても印象的に五郎と絡む。彼女のような女優を主役で映画を撮れない日本はやはりいろいろ問題ですよね。彼女がスープを最終的に作ってくれるオダギリ・ジョーの元奥さんで、この映画のキーを握っているのもとてもいい流れ。

そして、五郎は韓国にちゃんと入国するためにパスポートを持って、韓国にわたる。そこでイミグレの人と会うのだが、彼がくる前に食事中。ここで、彼が教えてくれたスケソーダラの出汁が最後のスープの決め手になる伏線は脚本的にはかなり決まっていた。このイミグレの人が最後にテレビで五郎を見て「知ってる」という流れは笑った。で、舞台挨拶のビデオで松重が韓国で「大谷翔平より井之頭五郎の方が有名だ」と言っていたが、それはあながち嘘ではなく、韓国で公開するためにこういうシーンが入ってるのだろうね。まあ、パリでの公開は無理だと思うが・・。

そして、食材を持って日本帰国。そして、内田が夫とやっていたラーメン屋に行くと、もうラーメンは作っておらずにチャーハンだけで商売しているオダギリ。で、最後にも出てくるこのチャーハンがすごく気になった。そんなに美味しいチャーハンなのか?そう、ラーメンの説明はあるがこれの説明がない、これはイライラするし、チャーハンが尚更食べたくなる。

で、そこのラーメンの味が忘れられないという磯村勇斗の協力もあり、オダギリにスープを作ってもらうことに。この最後のシークエンスも、ことのほかしつこくもなく、ある意味テレビサイズの流れでちょうど良い。そして、スープができて、皆でそのラーメンを食べるシーンも普通に美味しいラーメンを食べる幸せなシーンになっているだけで十分だった。

そして、そのスープを韓国の内田とフランスの塩見が食べるシーンに繋げる。いわゆる食事をするときの至福をしっかり映像に載せて、心の中も温まるような話にまとめているところが、普通に素晴らしく感じた。

まあ、松重さんの映画愛を感じる作品でした。それぞれのキャスティングもよかったし、「孤独のグルメ」だろとか毛嫌いしないで、見に行って幸せになりましょうということでした。

で、松重さん、まだこのシリーズやりますよね。遠藤憲一になるのはやめてくださいね。最後の松重さんの一言は、「この映画は飯テロ映画です」という意味なのでしょうね。


いいなと思ったら応援しよう!