「すずめの戸締り」災害と神とパラレルワールドで、何が描きたいのかがボヤッとしてますよね
新海誠の最高傑作なるキャッチを見たが、正直言って。あまり目新しさみたいのは感じなかった。新海誠が監督したとは関係なく、口コミで客が動く感じでもない。もちろん、ネット内の評価は好意的なものが多い。だいたい、2週間前からシネコンの半分くらいのスクリーンを占拠して上映してるわけで、それだけで凄いもの見えてくるわけで、そういうものに流されるのは日本人的な感じで私は好きではない。
「君の名は。」「天気の子」「すずめの戸締り」と続くこの3本を、観てない人にどんな映画かと尋ねられたら、私は「災害三部作」というと思う。隕石が落ちてきて、雨が降り続き、地震が起こる三部作である。そして今回は、やたらと緊急地震速報の音が鳴る。これ、実際のものは使えないのだろう、随分柔らかい音になっていた。本物鳴らしたら、途中で映画館出たくなるでしょうからね。そういう天変地異を題材にしたファンタジーなわけですが、私には3作ともあまり面白いとは思えないのだ。
全て、多分、詳細に過去作品を追っていくと、辻褄の合わない部分も多いし、結果的に監督がテーマとして何を訴えたいのかが、もう一つボヤッとしている三部作だ。とはいえ、映画として、エンタメとしての構成みたいのはそこそこちゃんとできているので、まあ、評価はそこそこ上がるという感じなのか?
今回の映画についていえば、題名にある、「戸締り」というフラグが大事なわけで、確かに家のドアというのは外界との境界である。そして、廃墟のドアの向こうにあるのはパラレルワールド。いわゆる、5次元思想でよく言われる、過去と現在と未来は同時に存在するという奴が描かれている感じ。
そして、災害は、要石が外れたところからやってくるというのも、昔からの神話的にはよくある話。ただ、そこの部分がドラマとしてしっかり消化されてない気がするのは私だけではないだろう。宇宙はこういうシステムになっているのだから、私たちはどう生きればいいのか?というような提言はほぼない。だからかどうか知らないが、後ろで見ていた若者は「後半よく理解できなかった」と話していた。まあ、前半も後半もよく理解できない部分が多いのですよ。
ただ、映画の構成として、宮崎から宮城まで主人公が移動していくロードムービーにしてあるので、それなりに面白く?見られるのだ。最初から宮城で話を進めていて、これは東北の震災の話なのだということがわかった状態で見ていたら、多分ほぼほぼつまらない作品になっただろう。
そう、同じ東北の震災を扱った映画「天間荘の三姉妹」をこの間見たが、あちらは原作はコミックだったが、あちらの映画の方が素直に分かりやすくそういう世界を描いていた気はした。
アニメの作りとしても、前作「天気の子」に比べるとあまり面白い部分がなかった。ある意味、この映画興行的に正月までは突っ込むのだろうが、正月に見る映画でもないですよね。新海監督の世界が私には中途半端にしか見えないのですよね。
まあ、深津絵里の声が心地よく聞けたのはよかったです。でも、彼女は実写映画の主役で活躍してほしいですよね。
とにかくも、何かボヤッとした映画に感じたのですよ。確かに「風の時代」こういう世界を描くのはアリだと思いますが、リピートしたい感じではないし、なんかピンとこないのですよね・・・。