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バターケーキ

クリスマスの夜には父がホールのケーキを買ってきてくれた。いちごのショートケーキ。
私の子供の頃はバタークリームのケーキが主流で、生クリームのケーキはすごく高級だった(多分)
勿論、うちのケーキはバタークリームケーキ。
それでもホールのケーキを食べられるのはクリスマスとお誕生日だけだったのですごく嬉しかった。

私の中のケーキの順位は、生クリームが最上級。で、生クリームの下がバタークリームで、それより下なのがアイスのケーキ。
昔は普通のケーキの色や形をそのままアイスクリームで作ったケーキがあった。

同級生に牛乳屋さんの子がいて、その子のお誕生パーティーに呼ばれたとき、出てきたのがアイスのケーキで、がっかりした覚えがある。
見た目は同じでも、スポンジもクリームも全部アイスなんて!!
口の中が楽しめないじゃん、てな感じ。

でも、本当はアイスは安いからっていうのがあったのかも…。

同じく小学生の頃、昼ごはんにレタスのサラダを食べてた私に、遊びに来た伯母が「レタスとキャベツどっちが好き?」と聞いてきたので「レタス」って答えたら伯母が「レタスの方が高いから?」と言ったのでびっくりした覚えがある。
この伯母は芯は弱くて優しいのに、いつも歯に衣着せぬ言い方をする人で、子供の頃は、好きだったけど苦手だった。
だって子供に高いから?とか聞くなんて。
なんて答えたらいいのかわからなかった。

そしてもっと幼いころ、休みといえば仲良しのいとこの所に泊まりに行っていたのだけれど、ある時伯母が(前述の伯母とは違う伯母)私を買い物に連れて行く道すがら、「今晩、何食べたい? ステーキ? とんかつ?」って聞いてきたのにはぶったまげた。
「あなたの好きな方にするよ。」とか言うんだけど、そんなんステーキの方が高価に決まってるし、そうそう食べたこともないから食べたいに決まってるのに、それを庶民の味方豚肉と比べて、どちらを食べたいか聞くなんて、この人、私を試してんのかな………と疑ってしまった。
小さい子供だと思って、私に分別があるか、とか、家でどういう教育してんのか、とかを探ろうとしてるんじゃないかしら………などと5歳ながら疑心暗鬼になった覚えがある。
今から考えたら、多分本当に好きな方を作ってくれるつもりだったんじゃないかと思えるけど(すごく善い伯母で、大人になってもずっと良くしてもらってます)あの時は子供ながらに、どう答えるべきか悩んで、結局「どちらでもいい」と答えた。
(勿論、ステーキ食べたいに決まってるやん!とか思いながら)

で、その時の私の価値基準は値段が高いか安いかだったのね!って思う。

それは本当の私の好き嫌いとかの基準じゃなく、世間一般の、それも金銭的な基準。
5歳にしてそれを考えてたのだから、この年になっても、つい自分の基準を内なるものではなく、外に置いてしまうのは仕方ないことかもしれないなぁって思う。

本当は今はバターケーキが大好きだし、レタスや牛肉より、キャベツと豚肉のほうが味があって好きです。

そんな気づかない、いつの間にか身についてしまって疑ってもみないような色々な制約(世間、とか お金、とか どう振る舞えば良い人に思われるか とか)から自分を解き放つのに日々苦心してます。

でも、それって出来るんだよね。やろうと思えば。
そのためには一回物事を全部反対に考えたり、常にいろんな可能性を思ってみたり、で、それを何度も試してみる(思ってみる)必要があるかもしれないけれど、人によっては、あるいは事柄によっては一瞬にして変われるのです。
ビリーフチェンジ、とか言うのだけれど。

そして、今も毎日色んな事をビリーフチェンジできるように、何かに付けてチャレンジしてます。まだまだ変われるぞーって思いながら。

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