徐々に見えてきたライバル達の魅力。「IDOL×IDOL STORY!」2巻感想
こんにちは。今日はIDOL x IDOL STORY!2巻も素晴らしかったので、こちらの感想を書いていきます。
忙しい人向けのコーナー
クルーズ船でスタートした第三次審査!人数も16人まで減り、個々人の掘り下げがどんどん進んでいく!
オーディションだけあってメンバーは強気な子が多く、実力とプライドのぶつかる音がする!(強めな女子好きな方は一見の価値あります!)
ちらほらトラブルの香りもしてくる第2巻、キャラクター同士の新たな交流もあり、目が離せません!
じっくり語るコーナー
得能正太郎先生の新作、「IDOL x IDOL Story!」第2巻です。
1巻の感想で紹介した通り、この作品は主人公の人間的な性格の良さが光ります。この第2巻でもその美点はしっかりと発揮されており、うまくいかない状況やトラブルにもめげず、周りに安心感を与えながら進んでいく姿が魅力的です。
目が素敵
この巻からは、オーディションの参加人数が16人となり、これまでよりもいっそう、一人一人の掘り下げが進みます。
最初の関門はステージでの発表形式での順位決め。審査基準も、順位も自分たちで決めることを求められます。そんな中で自分が正しいと思ったら嫌われ役でも進んで買って出る主人公、素敵ですね。
この発表の話では最後に全員の顔を一覧したページがあるのですが、こちらがすごく綺麗でした。「NEW GAME!」の時にも思いましたが、これだけのキャラクターを、現実的な髪の色・髪型で、かつ全員それぞれ別の魅力をつけて描き分けられる表現力に驚かされます。顔の描き分けは難しいとよく聞きますが、モノトーンでここまでの個性を出せるというのは稀有な能力を感じます。
「何不自由のない生活」でも満たされないものがある
自分たちで順位をつけるオーディションが終わり、16人は2つのグループに分かれました。
下位グループとなったキャラクタの一人の掘り下げが始まりますが、この子の考え方は今の時代に合っているような気がします。彼女の状況は、「恵まれた環境で不自由のない生活、勉強をして一流大学に入り、勝ち組のルートに乗っている」人生の未来が見えたような状態ですね。でもその状況に違和感があるようです。
現実と同様、このキャラクターは自分が恵まれていることは百も承知、そうではない人もたくさんいることも承知で、しかしそれでも別のものを目指してしまう自分が欲深く醜い人間かもしれないと悩みます。そんな葛藤を抱える彼女ですが、主人公と会話をして「明確な理由がなくたっていい」「頑張っているからここにいる」という言葉をもらい、心境にも変化があったようです。主人公の人を否定しない能力は本当にやさしい才能で、こういうコミュニケーション一つとっても魅力的ですね。
主人公のファン二人目!
第3次オーディションのお題が発表され、着々と次の審査に向けた準備が進んでいく中、今度は4人のグループに分かれます。この中でも、小さな出会いがありました。
主人公が以前アイドル活動をしていた時代からのファン、2人目のファンですね。この子もオーディションでアイドルを目指しているわけですが、1人目とは少し雰囲気が違います。どちらかと言えば折れやすい性格で人間味があります。(わかるよ・・・)しかしその度何とか持ちこたえ、一歩一歩登ろうとする姿は陰から応援したくなります。
主人公のように引退したアイドルが、実は誰かを救っていたという展開は個人的にとても好きなので、どんどん読みたいですね!
トラブルと姉妹・・・愛?
主人公と同じグループとなったキャラクターに、軽いトラブルが起こります。結果的には致命的になるものではありませんが、対応を間違えばすこし危ないものでした。そんなトラブルを経て、あらためて「あなたは」続けたいか?という問いが重要なエピソードでした。何かをやるには自分自身の覚悟が必要というのはどこにいっても同じですね。
この問いへの彼女の答えは「続けたい」でした。その理由は主人公達との練習が楽しかったから。主人公の、周りのみんなを元気づけていく力の結果ですね。
なんだか怖いコマも挟まったような気もしましたが、それは見なかったことにしておきます。
イチオシページ紹介
最後に、(ネタバレは避けつつ)イチオシのページをまとめてこの記事は終了とします。全てKindle換算のページ番号です。
P1(表紙) 1巻の時も思いましたが、この作品は表紙からしてものすごく気合が入ってますね。新宿南口の横断歩道っぽい場所に立つキャラクター、作中のエピソードともマッチしている子の表紙ですが、タイトルの描き方に驚きました。1巻の表紙とタイトルの描き方が全然違うんですよね。普通の漫画って、タイトルがロゴのようになっていて、上や横など常に似たような見やすい場所に書かれて、一目で同じシリーズだと分かるようになっています。一方この作品の表紙はフォントも、文字サイズも、色も、位置も全て変わっており、どちらかというと表紙全体がかっこよくなるデザインを重視しているようでした。電子書籍がこれだけ広まった時代、検索でいくらでも作品同士の関連付けが可能だからこそのダイナミックな表紙デザインかもしれません。
P33 ダンスを得意とするキャラクターの一コマ。とにかくかっこいい!!作中でも実力が上位のキャラなのですが、その説得力を存分に感じさせてくれる一コマです!強い音の様子、スピード感、表情にあふれる自信、鋭い目つきどれも最高です!!
P50 思い付きでそんな悪魔的なこと考える!?となる1ページ。強めのお姉さんのいたずらっ子のような表情はちょっとかわいげがあり、でも言ってることはおっかなく、作中のキャラクターと同じ顔をして読んでいました。
P144 ページの間を埋めるパート。なんですが、この作品はほんっとうに凝ってますね。インスタグラム風のアプリでアイドルの卵たちの日常を配信するような演出になっており、作中でわざわざ描かれることのない食事シーンや、移動シーンなどを補間してくれます。こういうところを魅せらるとキャラへの解像度が上がり、どんどん実在感を感じていきますね。
P182 ・・・なんか怖い・・・
P188 ダメな子・・・?
P193 (後書き) 得能先生がアイカツやプリティシリーズ大好き侍だったことが判明したコマ。素晴らしい。私はプリティシリーズアニメ侍をしていたことがあったんですが、歌のクオリティの高さ、終盤の強キャラ達、シリーズごとに劇的な進化を遂げる3Dダンスシーン(ファララのサンシャイン・ベルは演出も歌も凄まじいクオリティだったのを未だに覚えています)、何より、あの作品には夢が詰まっていました。なんでしたっけ、熱くなりすぎました。はい、得能先生はアイドル作品を描くのに最適な方の一人ということが分かりましたね。
巻末特典:カラーページ16連!!!これ、デジタル限定特典ですって!内容はオーディションメンバー16人のプロフィールカードで、誕生日や家族構成、趣味や好きな食べ物の情報など、色々と書かれています。本来ならファンブックとかに乗りそうな内容をおまけでサッと挟んでくるあたり、太っ腹ですね!