読書メモ :マインド・コントロール
Amazon.co.jp: マインド・コントロール 増補改訂版 (文春新書) eBook : 岡田尊司: 本
所感
示唆に富む本。身に覚えが多すぎる。
広告、SNS、検索結果(SEO)、インフルエンサー・・・インターネット(開かれているようで閉じた世界)はマインド・コントロールに最適な場所だ。少なくとも受動的にコンテンツ消費だけをしていると、つまり自分は、、知らないうちに視野狭窄に陥り、消費や嗜好、そして思考でさえ、コントロールされてしまっているのだろう。
ポイント
マインド・コントロールをするには:①外部から情報遮断された小さな世界を用意し、②ひとつの目的や出口に向けて、視野狭窄を生じさせること。小集団の圧力と、その中で自分の存在価値を証明しようという自己実現の願望が、強力な駆動装置となる。
マインド・コントロールする側の共通項:①閉鎖集団における優越的な地位、②弱者への思いやり・倫理観の欠如、③支配の快楽 これらは、幼く未熟な自己愛に由来する。他者に威張る、強がる、弱い者いじめをする幼さと共通のものである。
母親との間で成立した愛着パターンが全ての人間関係の基礎になる。母親との間で愛着不安が強いと、他でも同様の関わり方をするようになる。
無意識を操作する。
直接的な説得ではなく第三者的な仄めかしのほうが効果的。前者は意思による抵抗を生むが、客観的な「観察事実」として示されると、かえって否定が難しい。
アピールや売り込みはせず、第三者的にサポートに回ることに徹する。そうすると、信頼が生まれ、相談や頼み事を受け、親密さが醸成されていく。
マインド・コントロールと行動心理学
うまくいっていてもいっていなくても、対応を変えないこと。そうすることで、安心感が生まれる。これは、逆に、気まぐれで支配的な人物が、依存的な人物を支配するパターンとしてもつかえる。気まぐれを見せて不安・緊張状態を作り出したところで、機嫌のよい「安定剤」となる反応を示す。支配されている側は、この安定剤に依存し、それを維持するために愚かしいほど相手に尽くすこととなる。
我々の脳が正常な働きを維持するには、適度な刺激が必要。
刺激を極端に減らすと、与えられたものは何でも吸収しようとする。これは、洗脳の典型的な手口となる。ただし、適度に情報を絞ることで、自分で考えること、意欲や関心を高めることにもつながる。
逆に、過剰な情報にさらし続け、自分で考える暇も与えず何かをやらせ続けると、「ゾンビ化」させることができる。
人間の承認欲求は極めて強い。自分を認めてくれる存在に対して、肯定的感情や忠誠心を生むし、それを裏切るのに強い抵抗感を覚える。これがマインド・コントロールの力にもなる。
人間の自由意思などたいしてあてにならない。
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