遺伝性アルツハイマーの新薬治験が始まりました
この記事では、治験の対象や方法につい解説していきます。🧠💊
遺伝性アルツハイマーとは?
遺伝性アルツハイマー病は、アルツハイマー病全体の1%未満とされる非常にまれな形態です。特定の遺伝子変異を持つ人が発症するリスクが極めて高くなることが知られています。
この病気の特徴は以下の通りです
30代から50代の比較的若い年齢で発症することが多い
親から子へ遺伝する可能性が高い
発症前に遺伝子検査で診断できる可能性がある
新薬治験の対象
今回の治験の対象となるのは以下の条件を満たす人々です。
家族性アルツハイマー病の遺伝子変異が確認された人
推定発症年齢の前後10年の年齢範囲にある人
無症状または軽度の症状がある人
日本では30代から50代の男女4人が参加登録しています。世界全体では16カ国で約170人が参加する予定です。👥🌍
治験の方法
この治験は、国際的な共同研究として行われています。
二重盲検試験:参加者と医師の両方が、誰が実際の薬を受けているかを知らない方法で行われます。
プラセボ対照試験:実際の薬を投与するグループと、効果のない偽薬(プラセボ)を投与するグループに分けて比較します。
併用療法:全ての参加者に既に承認されている治療薬「レカネマブ」を投与します。
新薬の投与:参加者の一部に、タウタンパク質を標的とした新薬「E2814」を投与します。
長期観察:約4年間にわたり、脳内のタンパク質の蓄積状況などを比較します。
治験薬について
この治験では2種類の薬剤を使用します。
レカネマブ
すでに承認されている薬剤
アミロイドβというタンパク質を除去する効果がある
全ての参加者に投与される
E2814
開発中の新薬
タウというタンパク質の広がりを防ぐ効果が期待されている
一部の参加者にのみ投与される
治験の目的
この治験の主な目的は、以下の通りです。
新薬E2814の安全性を確認する
新薬E2814の有効性を評価する
レカネマブとE2814の併用効果を調べる
アルツハイマー病の進行を予防または遅延できるかを検証する
研究者たちは、この治験を通じて得られた知見が、より一般的なアルツハイマー病の治療法開発にも役立つことを期待しています。🔬🧪
期待される効果
研究チームは、この治験を通じて以下のような効果を期待しています。
脳内のタウタンパク質の蓄積を抑制する
認知機能の低下を遅らせる
脳の萎縮を抑える
生活の質(QOL)を維持する
まとめ
遺伝性アルツハイマー病の新薬治験が国際的に開始された
対象は家族性アルツハイマー病の遺伝子変異を持つ30代から50代の人々
既存薬レカネマブと新薬E2814の併用効果を調べる
治験は二重盲検法で約4年間行われる
脳内タンパク質の蓄積抑制や認知機能低下の遅延が期待される
結果は一般的なアルツハイマー病の治療法開発にも貢献する可能性がある
アルツハイマー病は一般的な病気で、みなさん知っている方も多いと思います。しかし、遺伝性アルツハイマーはあまりなじみがないのではないでしょうか。まれな病気ですがこの病気に対処するために新薬の治験が開始されました。時間は要しますが、新薬が開発され、この病気と闘う本人とその家族への希望になることを祈っています。
専門用語の説明
二重盲検試験:参加者と医師の両方が、誰が実際の薬を受けているかを知らない試験方法
プラセボ:効果のない偽薬
アミロイドβ:アルツハイマー病の原因とされるタンパク質の一種
タウ:アルツハイマー病の原因とされる別のタンパク質
QOL:Quality of Life(生活の質)の略称
ハッシュタグ
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