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デザイナーは実際にデザイン思考をつかうの?

こんにちは あるいは こんばんは。どうも、デザイナーのらんらんです。
前回の記事では、スタンフォード大学の d.school が体系化したフレームワークの図を参考にしながら、一般的なデザイン思考のプロセスについて説明しました。

また、「デザイン思考を学んだけれど、実際には思ったように機能していないのでは?」というテーマについてもお話ししました。

スタンフォード大学のd.schoolが体系化したフレームワーク

今回は、この図の流れをもとに、僕たちデザイナーを含む制作スタッフがどのような思考でクリエイティブをカタチにしているのかを簡単に考察してみたいと思います。

なお「アホか?デザイン思考ってそんなんじゃねえよ!」というクレームは一切受け付けませんので。ここで紹介するのは、あくまで僕たちが実際に行なっている思考のプロセスなのです。

仮に、クライアントから「新サービスの告知を交通広告とCMで展開する」という課題を提示された場合を例に挙げてみます。

クリエイティブチームの構成メンバーはミニマムで以下となります。
実際に気心の知れたメンバー同士なので、気後れして発言しづらいといった状況にはなりません。

  • クリエイティブディレクター

  • アカウントディレクター

  • アートディレクター

  • コピーライター

  • CMプランナー・ディレクター

  • プロデューサー

デザイナーが実践するデザイン思考の5つのステップ

1.理解と共感

ず、クライアントから提示された新サービスの内容をチーム内で共有し、サービスに関連する問題点や課題を明確化していきます。不明瞭な点があれば、その都度クライアントに確認します。

2.問題定義

チーム内で目指すべき課題を共有した後、それぞれが課題を持ち帰り、競合分析や類似課題に対する解決策を検証します。そして、各自が課題を解決するための具体的なアイデアや方向性を広い範囲で考えます。

3.発想

各自のアイデアを壁やボードに貼り、大まかなカテゴリーに分けたうえで、ブレインストーミングを通じてチーム全体で核となるアイデアを検証します。そして、目指すべき方向性を定めます。方向性は通常、3つ程度に絞り込まれます。

このプロセスは、核となるアイデアの方向性が確定するまで繰り返し行います。

4.試作

3つの方向性に対して、それぞれの役割に応じてキャッチコピーやキービジュアル、企画コンテを作成します。これらを通じて制作すべきイメージをチーム全体で共有し、具体化に向けた議論を進めます。

それぞれの方向性に対するアイデアを、絵コンテ、Vコン、ポスター、中吊りなどの各媒体に落とし込みます。(場合によっては、オプションとしてWEB展開の施策やイベントも提案します。)

5.テスト

企画の骨子とそれぞれの方向性に対する考え方、制作費を企画書にまとめ、クライアントへ提案します。クライアントからのフィードバックを受けて、改善点を考慮し、納品・ローンチへと進みます。
ローンチ後、消費者からのフィードバックも受け、今後の提案に向けて再考します。(もうお前らには頼まねえよ!という場合を除いて)

このようにデザイン思考の5つのステップに当てはめてみましたが、実際には僕たちはこのプロセスに厳密に沿って考えているわけではなく、自然とこの流れになることが多いです。

デザイン思考には、このd.school が体系化したフレームワークの他にもう一つ、
2005年に英国デザインカウンシルが提唱したフレームワークでダブルダイヤモンドというモデルがあります。

ダブルダイヤモンドとは?

英国デザインカウンシルが提唱したフレームワーク ダブルダイヤモンド

ダブルダイヤモンドは「発散」と「収束」の2つのプロセスを含むフレームワークで、それぞれを1つのダイヤモンドとして視覚化しています。この2つのダイヤモンドは、それぞれ「正しい課題を見つけるダイヤモンド」と「正しい解決策を見つけるダイヤモンド」を表現しています。

ダブルダイヤモンドの4つのステップ

ダブルダイヤモンドは、以下の4つのステップで構成されています。

  1. 発見
    問題を幅広く探る段階。デザイン思考の「共感」に相当します。

  2. 定義
    発見した情報を整理し、解決すべき課題を明確化する段階。

  3. 発想
    解決策のアイデアを幅広く考え、試作を行う段階。

  4. 実行
    解決策をテストし、最終的に実現する段階。

そして一方通行ではなく後戻りを繰り返し課題解決に向かいます。

ダブルダイヤモンドで言う「実行」は、d.schoolのフレームワークの「試作」と「テスト」を兼ねているだけで、思考の流れ自体は同じです。しかし僕たちが行う思考イメージとしてはこちらの方が視覚的にわかりやすく感じます。

要するに、課題解決に向けたプロセスは次のようになります。

  1. 課題の洗い出し」では、圧倒的な量で幅広く考え、課題を明確にします。

  2. その後、課題に対するアイデアを絞り込みます。

  3. 解決策の洗い出し」では、圧倒的な量で幅広くアイデアを出し、解決策を考えます。

  4. その解決策を絞り込んで実行に移すという流れです。

この流れはシンプルで、クリエイティブチームの思考フレームをわかりやすく表現しています。ダブルダイヤモンドの左側、つまり課題と解決策の洗い出しの段階で、どれだけ発想を広げ、ジャンプさせることができるかが、クリエイティブな成果を生むための重要なポイントになります。

このように「デザイナーは実際にデザイン思考をつかうの?」という問いについて、デザイン思考はデザイナーが自然に行っているプロセスを体系化したものと言っていいと思います。(そりゃそうだよねデザイン思考っていうくらいなんだから)そのため、多くの場合、デザイナーはフレームワークを意識しなくても、結果的にデザイン思考の要素を取り入れていると思います。

ただし、実際の現場では、状況やプロジェクトに応じてアプローチが異なることも多いですが。

以上今回はデザイナーが実践するデザイン思考についてお話しさせていただきました。

次回からは子供たちがどのようにデザイン思考を身につけることができるかをお話しさせていただきたいと思います。

次回からは
子供たちが学ぶべきデザイン思考とは
・荒川区公立小学校の総合授業でのデザイン思考教室 講師体験
・RUNRUN SCHOOLにできること
・暮らしの中のデザイン

などの発信をしていきたいと思います。
興味を持っていただけたり、応援していただけるようでしたら
自分も勇気を与えてもられえるので、是非よろしくお願いします。

少しでもデザインのチカラがこれからの社会に役立ちますように。

これからの子供たちの「生きるチカラ」が楽しいものでありますように。




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