法の下に生きる人間〈第20日〉

6年前の2017年の8月29日、北朝鮮のミサイルが北海道の上空を飛んで、あの有名な襟裳岬から南東へ1180キロ離れたところに落下した。

このミサイルの飛行時間は約10分であり、発射から4分後に、日本政府はJアラートを12道県に鳴らした。

北海道と東北6県、新潟県、長野県、群馬県、栃木県、茨城県である。

日本の上空をミサイルが通過したということだったので、多くの国民に緊張が走ったことだろう。

朝の6時すぎであったが、札幌市の地下鉄やJR北海道、東北新幹線などの公共交通機関は、一時運転見合わせとなった。

テレビは、各局とも朝の通常番組が臨時ニュースに切り替わり、政府関係者や自治体職員は国民保護法に基づき、それぞれ対応に追われた。

Jアラートが鳴った道県の一部の学校は、臨時休校となった。

さらに、約2週間後の9月15日、この日も朝7時ごろに東北地方を中心にJアラートが鳴り、学校は登校時間を繰り下げるなどの対応に追われた。

このときの内閣総理大臣は、安倍晋三であった。

実際にミサイル飛来の脅威にさらされた状況の中で、不安を感じた人もいたわけだが、多くの人は「避難しろと言われてもどうすればよいか分からない」と困惑した。

ものの数十分間で、避難行動に取りかかっているうちに、ミサイルは落ちてしまうからである。

しかし、ミサイルが何時何分にどこに飛んでくるかという予測を待っているよりは、万が一、自分の居場所付近に今にも飛んできそうだという状況に備えた行動が必要である。

例えば、地震が起きたときと同様に、自宅にいる場合は身の安全を確保しつつ、非常用の持ち出し袋を出したりしていつでも避難できる態勢をとっておく。

通勤時など外出中であれば、電車内か駅のホームのどこにいるかによって、自分がこのあとどうすればよいか即座に判断する。

家族や勤務先との連絡調整も必要になるわけだから、あらゆるケースを想定した行動の準備が求められる。

国民保護法に基づき、国や自治体が対応することは決まっているので、それを踏まえた上でどういった心がけを普段からしておくとよいか、改めて考え直すきっかけになればと思う。

今週も、法の下に生きる人間シリーズをご愛読いただき、ありがとうございました。








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