【最終回】法の下に生きる人間〈第100日〉
とうとう最終回である。
昨日の記事でだいたい理解できた方もいるかと思うが、最終回の今日は、「免税店」のことに触れて締めくくるとしよう。
コロナ禍が明けて、訪日外国人の数もV字回復してきた。
そういった外国人観光客は、「免税店」で日本の商品を買ってくれる。
「免税店」とは、消費税法第8条に定める「輸出物品販売場」のことである。
第8条の条文について、第1項をみてみよう。
(輸出物品販売場における輸出物品の譲渡に係る免税)
【第八条】
輸出物品販売場を経営する事業者が、免税購入対象者(外国為替及び外国貿易法第六条第一項第六号(定義)に規定する非居住者であつて、出入国管理及び難民認定法第十四条から第十八条まで(上陸の許可)に規定する上陸の許可を受けて在留する者、同法別表第一の一の表の外交若しくは公用の在留資格又は同法別表第一の三の表の短期滞在の在留資格をもつて在留する者その他政令で定める者をいう。以下この条において同じ。)に対し、政令で定める物品で輸出するため政令で定める方法により購入されるものの譲渡(第六条第一項の規定により消費税を課さないこととされるものを除く。)を行つた場合(政令で定める場合にあつては、当該物品の譲渡に係る第二十八条第一項に規定する対価の額の合計額が政令で定める金額以上となるときに限る。)には、当該物品の譲渡については、消費税を免除する。
以上である。
長い条文なので、ちんぷんかんぷんな人もいるだろう。
だが、よく見ると、外国為替及び外国貿易法とか出入国管理及び難民認定法とか、他の法律が絡んでいる。
本シリーズでは、これまで取り上げていない法律である。
私たちは、訪日外国人に街なかで出会っても、法律的視点では、彼らを見ることはない。
しかし、消費税法第8条だけを見ても、訪日外国人はさまざまな法律に関係していることが分かる。
条文の意味は分からずとも、昨日の記事で、地方消費税が最終消費地である自治体にすべて入ってくるわけではないと説明したのと同じように、では、日本国民ではなかったらどのような扱いになるのかというふうに考えを巡らせることが大切である。
そうすることで、法整備が不十分な点に気づくことができるし、法律の抜け穴を悪用した問題行為についてもどう取り締まる必要があるのかを検討するきっかけにもなる。
素人的な考えでもよいのだ。
素朴な疑問が、実は法律の専門家でさえ考えもしなかったことだとして、あとから注目されるケースもある。
そして、私たちに選ばれている国会議員たちは、たくさんのお金をもらっている分、もっと国民の声に耳を傾けて、地元や関係各所を回り、法整備のための努力をすべきである。
その努力のために、例えば、調査費やその調査のための経費支給が適切になされるのであれば何も問題はない。
ただ、その支給要件についても、しっかりと議論を深め、現行法の改正や条項の追加など国民が納得できるように国会で説明を行うべきである。
全100回の長い長いシリーズであったが、最後までご愛読いただき、ありがとうございました。