世界の民謡〈10〉ラ・クカラーチャ

今日が最終回?と気になっている人もいるようだが、パラリンピックが来月8日まで続くので、9月も本シリーズは続ける。

9月は、4週目の23日から27日までの期間が、第11回〜第15回になる。

さて、今日は、メキシコ民謡であるが、次のような歌を、小学校で習った人もいるだろう。

【1番】
山のふもとまで    続いている道
森のはずれには    サイロが見えるよ
車にゆられて    仕事にでかける
ぼくたちの顔に    朝日がまぶしい
ラ・クカラーチャ    ラ・クカラーチャ
ゆらゆらゆれて
ラ・クカラーチャ    ラ・クカラーチャ
牧場(まきば)の中の
ラ・クカラーチャ    ラ・クカラーチャ
でこぼこ道を
ラ・クカラーチャ    ラ・クカラーチャ
車がゆくよ

【2番】
草刈りの仕事    ぼくたちの仕事
一日働き    車にいっぱい
乳をしぼるのは    きみたちの仕事
空を見上げれば    お日さま笑う
ラ・クカラーチャ    ラ・クカラーチャ
ゆらゆらゆれて
ラ・クカラーチャ    ラ・クカラーチャ
牧場(まきば)の中の
ラ・クカラーチャ    ラ・クカラーチャ
でこぼこ道を
ラ・クカラーチャ    ラ・クカラーチャ
車がゆくよ

以上である。

ちなみに、原曲はスペイン語の歌詞だが、次のように作られていて、そこにも最後のほうに「ラ・クカラーチャ」(La cucaracha)の表記があることが分かるだろうか。

Una cosa me da risa
Pancho Villa sin camisa
Ya se van los Carrancista
Porque vienen los Villista

Para sarapes,Saltillo
Chihua, para soldados
Para mujeres,Jalisco
Para amar toditos Lados

La cucaracha,la cucaracha
Ya no puede caminar
Porque le falta,porque le falta
Marihuana que fumar

以上である。

この「ラ・クカラーチャ」って、どういう意味だろうと子どものときは思っていても、楽しいリズム感のある歌なので、そこまで気にならなかった。

実は、「ゴキブリ」の意味なのである。

日本では、日本語歌詞の歌は『車にゆられて』というタイトルであるが、原曲の場合は車は関係なくて、実は、1910年代のメキシコ革命に関わった兵士たちが行軍中に気持ちを奮い立たせるために歌っていたものだという。

原曲の歌詞の最後には「マリファナ」という言葉もあり、マリファナを吸わなければ歩けないほど疲れている自分たちをゴキブリに例えて自虐的に歌っている。

日本語の歌詞の場合は牧歌的なイメージで、のどかな気分になるのだが、よく考えたら、私たちはこの歌で「ゴキブリ」を連呼していたのである。

知らなければよかったでしょう。



いいなと思ったら応援しよう!