世界の民謡〈5〉靴屋のポルカ
イタリア→アメリカ→イングランド→スコットランドときて、今日は、デンマークである。
デンマークの民謡の『靴屋のポルカ』は、知らない人もいるかもしれない。
クラシック好きな人は、ヨーゼフ・シュトラウス作曲の『鍛冶屋のポルカ』ではないのかと思うだろうが、曲はまったく違う。
実は、日本では、『靴屋のポルカ』をもとに、『糸巻きの歌』という童謡が誕生した。
そして、『糸巻きの歌』は、実はイギリスやフランス、アメリカでも、日本と同様の歌詞で歌われているが、これは日本のマネをしたのではなく、欧米から日本に伝わったのである。
『靴屋のポルカ』として、靴屋のことが歌詞に書かれているのは、デンマークだけである。
デンマーク語では、次のような歌詞になっている。
デンマーク語は、ネット検索でも簡単な日常会話が分かるので、どんなふうに話されているのか聴いてみると良いだろう。
Først den ene vej
Og så den anden vej
Og tju og tju
Og skomagersdreng
Skomagerdrengen er et svin
For han drikker brændevin.
上記の歌詞の意味は分からなくとも、メロディーは、日本でもお馴染みの『糸巻きの歌』とほぼ同じである。
ちなみに、歌詞の最後の「For han drikker brændevin.」というのは、「ブランデーを飲んでいる」という意味であり、要は、酒飲みの靴屋さんが陽気になって踊る歌なのである。
私たちが子どもの頃に教えられる歌は、日本語の歌詞がもう付いているから、てっきり日本独自の歌だと思い込んでいることがほとんどである。
しかし、実際は、外国から輸入された曲も多く、歌詞に関しては、原曲の歌詞を訳す場合もあれば、曲の旋律に原曲とはまったく違う歌詞を付ける場合もある。
こうしてみていくと、言葉は通じなくても、音楽では心を通い合わせることは可能だと気づくだろう。
そして、いろんな国の言葉に触れるとき、意味が掴みやすい歌から少しずつマスターしていけば、外国語を何ヵ国かしゃべれるようになるのも夢ではない。
私たち自身も、外国人に日本の歌について尋ねられたら、しっかりと由来などについて説明できるようになったほうが良いだろう。
特に、自国の民謡が日本でも歌われていると知ったら、きっと日本語の歌詞に興味も持つだろうから、ぜひ自信を持って答えたいものである。
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