法の下に生きる人間〈第97日〉
消費税率が令和元年に10%に引き上げられたことは昨日の記事でも触れたが、私たちが買い物をするにあたって、すべての商品に10%の消費税がかけられているわけではないことをご存じの方は多いだろう。
もし「えっ?そうなの?」と思った方は、一度、コンビニやスーパーでの買い物でレシートを受け取って確認すると良いだろう。
飲食料品などの買い物をしたときは、「軽減税率」として10%ではなく、8%の消費税がかけられている。
ただし、外食は適用外であり、酒類も同様である。
そもそも、消費税の税率は、導入当初の平成元年が3%だったのだが、平成9年に5%に引き上げられ、平成26年には8%に引き上げられた。
つまり、外食や酒類を除く飲食料品については、10%には引き上げずに8%のままにしておきますよという条件付きの引き上げが、令和元年になされたのである。
この理由についてはきちんと公表されているが、低所得者に配慮するためである。
ただ、外食を除くといっても、宅配やテイクアウトはどうなのだ?、野球場や映画館での飲食は外食なのか?という境界線が曖昧であった。
そういった曖昧さで、事業者や消費者が混乱しないように、軽減税率の導入にあたっては、財務省や国税庁がホームページ上で基準を公表した。
結論から言えば、宅配やテイクアウトは一般的には軽減税率8%が適用される。(例外があるので注意)
また、野球場や映画館のように、観客席などで食べるために購入する場合も、軽減税率が適用される。
軽減税率が導入された当初に、ちょっとした話題を呼んだのが、「イートイン脱税」である。
カフェなどで飲み物やスイーツを注文したとき、「店内での食事(=イートイン)」か「お持ち帰り(=テイクアウト)」かをレジの店員に聞かれるが、テイクアウトなら軽減税率が適用されるということで「テイクアウト」だと申告したあとでイートインする客が増えるのではないかと言われたのである。
これは、マジメに生きている人からしたら、ウソの申告をしてズルいと思うだろうが、このようなケースがあったとしても、基本的には当初の支払金額のままでよいとされた。
悪質なリピーターであれば、お店から目をつけられるかもしれないが、基本的には消費者の良心に委ねるということだろう。
ただ、エコな社会を目指すという観点では、テイクアウトに対する軽減税率の適用は、むしろマイナスである。
店内飲食であれば、カフェに限らず、店内利用客用の食器が提供されて、それは使用の都度洗浄され、繰り返し提供が可能である。
テイクアウトの場合、毎回、プラスチック製容器などが提供されて、それは家庭ごみとして捨てられる。
コロナ禍では、外食よりもテイクアウトが圧倒的に利用機会が多かったが、軽減税率の適用は、これからの時代により一層求められる環境保護にはつながらないのではないかという見方もできる。
私は外食派であり、テイクアウトはめったにしない。宅配も、よっぽど悪天候で外食や買い物に行くのがおっくうなときしか利用しない。
みなさんは、どうだろうか。
チリも積もれば山となるというが、軽減税率適用でも、税込550円が税込540円、税込1100円が税込1080円へと安くなる程度であり、毎日のようにテイクアウトするわけでもなければ、環境保護を考えるほうが良いような気もするのである。