20世紀の歴史と文学(1952年)
今日は、ちょっと一息つく感じで、文学作品を紹介しよう。
のちに映画化もされて有名になった長編小説が、この年に発表された。
映画化されたことで注目を浴びたのは、香川県にある小豆島だった。
ここまで読んで分かった人は、素晴らしい。
そう、壺井栄の『二十四の瞳』である。
大石先生が主人公なのだが、映画を観たことのある人の中には、新任の女の先生の奮闘に憧れて教師を目指した人もいるのではないだろうか。
小豆島には、二十四の瞳映画村がある。オリーブの生産でも有名であり、行ったことがない人は、この夏にぜひ行かれてはどうだろうか。
フェリーで小豆島に行くので少々不便ではあるが、映画村自体は、2時間ほどいても十分なくらいいろいろと見どころがある。
映画村だけで終わるのがもったいない人は、本州に戻って、平和記念資料館のある広島に足を伸ばすのもアリである。
壺井栄は、この小説を発表したときは53才だったのだが、第二次世界大戦中の学校や人々の暮らしの様子を描き、反戦文学の作家として名を揚げた。
さて、1952年は、まだ朝鮮戦争が継続中であることを忘れてはならない。
今のロシアとウクライナの戦争が、2022年2月24日に始まって2年5ヶ月経っているが、それとほぼ同じ長さで戦闘状態が続いていたと考えれば分かるだろう。
そして、アメリカやソ連の原爆保有に続き、イギリスのチャーチルも、1952年10月に原爆実験を行なった旨の発表をした。
さらに、アメリカは、原爆よりも恐ろしい水爆実験を、この年の11月に行なった。
ここから、主要国の間で核の保有競争が始まったといえるだろう。
核さえ持てばそれが抑止力になるということで、皮肉にも、被爆国になって反戦を訴える立場の日本は、安保条約の締結によりアメリカの核の傘に守ってもらえるというジレンマに陥ることになってしまった。
一方、この年は、『アンネの日記』が日本語に翻訳されて刊行された。
こちらは、ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害の悲惨さが伝わるものであるが、同じ敗戦国となったドイツと日本は、ここから20世紀後半の時代を、さまざまな葛藤に直面しつつも乗り越えていくことになる。
ドイツは、このとき西ドイツと東ドイツに分断されており、東ドイツにはまだソ連軍が駐留していた。
西ドイツには、アメリカやイギリス、フランスの連合国軍が駐留していたわけだが、西ドイツと東ドイツとの境界線には、のちに「ベルリンの壁」が建設されるほどにまで、資本主義と共産主義の対立構図は鮮明になっていく。
歴史認識は、こうした対立構図があることを前提として、世界各国で折り合いをつけていかなければならず、非常に難しいものなのである。