唱歌の架け橋(第19回)

今日も、緑が登場する歌を紹介しよう。

1947年、童謡歌手の川田正子が歌った『とんがり帽子』という歌である。

この歌は、実は、NHKのラジオ放送によるドラマ(=テレビドラマではない)の主題歌である。

ドラマのタイトルが『鐘の鳴る丘』だったので、『とんがり帽子』という歌のタイトルよりも、そっちのほうが当時のリスナー(=視聴者ではない)には印象が強かった。

コロナ禍のときに、NHKの朝ドラ『エール』で、主人公の古関裕而を演じた窪田正孝を覚えているだろうか。

『とんがり帽子』の作曲者は、古関裕而(こせき・ゆうじ)であった。

コロナ禍で窮屈な生活を強いられた私たちだが、ドラマを観てほっこりとした気分になった人も多いだろう。

ドラマのヒロインだった二階堂ふみも、当時26才だった。

改めて、歌詞を見てみよう。

【1番】
緑の丘の    赤い屋根
とんがり帽子の    時計台
鐘が鳴ります    キンコンカン
メーメー子やぎも    ないてます
風がそよそよ    丘の上
黄色いお窓は    おいらの家よ

【2番】
緑の丘の    麦畑
おいらが一人で     いる時に
鐘が鳴ります    キンコンカン
鳴る鳴る鐘は    父母の
元気でいろよと    いう声よ
口笛吹いて    おいらは元気

【3番】
とんがり帽子の    時計台
夜になったら     星が出る
鐘が鳴ります    キンコンカン
おいらはかえる    屋根の下
父さん母さん    いないけど
丘のあの窓    おいらの家よ

【4番】
おやすみなさい    空の星
おやすみなさい    仲間たち
鐘が鳴ります    キンコンカン
昨日にまさる    今日よりも
あしたはもっと    しあわせに
みんな仲よく    おやすみなさい

以上である。

1番からいきなり「緑」「赤」「黄色」の3色が登場し、「風がそよそよ」とあるように、そよ風も入り、鐘の音の「キンコンカン」や「おいら」という一人称が使われているのも珍しい。

ドラマで古関裕而のことを詳しく知れた人もいると思うが、彼は福島県の出身だった。

海沼實とは、同じ明治42年(=1909年)生まれであり、海沼は62才で亡くなったが、古関は80才まで生き、平成元年に亡くなった。

高校野球の大会歌として何度も歌われた『栄冠は君に輝く』も、『とんがり帽子』に引き続いて、翌1948年に、古関裕而によって誕生したのである。

さて、明日は、何の歌が紹介されるか予想してみよう。

当たった人は、素晴らしいです。

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