環境問題は外交問題なのかもしれない。
環境問題?
そんなことに税金を使うなら、もっと貧困対策とか使う場面があるだろう。
そんな風に感じる方もいるかもしれない。
とはいえ、実際に環境問題などの話題がニュースになる際、
そこに少なくない金額が投資されているのはわかるが、
逆に言えばそれしかわからないことのほうが多いかもしれない。
ニュースのタイトルなどは細かい所までは触れられないためだ。
ちなみに環境省では、毎回このような国際会議がある際には担当職員が会合へ参加し、以下のような文章を作成している。
国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(結果)
https://www.env.go.jp/content/000267616.pdf
国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(結果の概要)
https://www.env.go.jp/content/000267615.pdf
概要結果の最初のページに出ている
NDC(Nationally Determined Contribution)とは、
パリ協定に加盟している各国が作成・通報・維持しなければならない
温室効果ガスの排出削減目標等のことを指している。
ちなみに日本以外の国の文章は以下のサイトに掲載されている。
2つ目には、環境大臣が各国の閣僚級交渉(他国の環境大臣や環境省にあたる省庁のトップなど)に加え、国連事務総長などと会談したことが明らかにされている。
国際会議の場で、様々な国の閣僚や国連事務総長と緊密な連携や問題意識を共有すること、それ以前に挨拶をすることも立派な外交であり、
国際社会の一員としては必要な行動だろう。
そして今回一部のメディアで話題になっている
「2035年までに少なくとも年 間3,000億ドル」の途上国支援目標を決定」
という決定事項がある。
MDBとは
国際開発金融機関(MDBs:Multilateral Development Banks)のこと。
詳細は以下のページ参照とのこと。
年間3000億ドルというのは、日本円に直すと約46兆1900億円。
その金額をもってしても、一部の途上国は「不満」としているというのだ。
この金額は現在先進国が拠出している金額の3倍。
それでも「足りない」と言われているのだから、
それをおもしろく思わない国々もいるだろう。
もっとも、copに加盟(会議に参加して様々なことを決める権利を与えられている国)している国や地域は200近くある。
この文章を読んでいる皆さんにも、1度思い出してみて欲しい。
人生で「学校」という所に通ったことがある方々は、
クラス単位で何かを決めるという経験をしたことがあるだろう。
なんでもいい。
学園祭の出し物でも、スポーツ大会の競技者の選定……
クラス委員の選出……
クラス全員の総意で何かを決めるとなった際に、
スムーズに満場一致で決まったことがあるだろうか?
おそらくほとんどの方はないだろう。
多くても40人近くの人数で何かを決めるのさえ難しいのである。
ましてやそれぞれの財政状況や地域が違う国が200。
対立するような意見が出てしまうのは、むしろあたりまえだろう。
また、少しだけ途上国側のことを考えてみよう。
例えば太平洋諸島の国々の中には、
気候変動により海面が上昇し、国土が沈んでしまう危険性を
抱えている国が存在している。
そんな国々からすれば、少しでも多くの金額を対策に使って欲しいと思うのは、むしろ当たり前だろう。
しかもそういった気候変動の原因は、
主に現在の先進国が発展の代償に、環境への問題を無視していた、
あるいは気が付いていても対して対策をせず、
問題を軽視して先送りしていたからだ。
経済発展のために好き勝手やった結果、
関係のない自国が消滅の危機に瀕しているのだ。
多少強引な要求をするのは、決しておかしくはないだろう。
そんな状況を考慮して考えてみると、
環境大臣が各国の閣僚とこの問題について議論することは
大きな意義があるだろう。
問題そのものの解決はもちろん大事だが、
途上国側には「あなた方に寄り添っている」ということを
伝える機会になる。
少なくともその意思を示すだけでも十分な外交上の意義はあるのではないだろうか。
もちろん、多額の税金を使っている以上、
設定した目標は達成してほしいが……。