見出し画像

他人を生きることに疲れました

とある大事なものを棄ててきました。

わたしは、自分以上にそのものを大事にしていた。頭が働いている時間の半分以上はそのものについて考え、そのものと感情を共有している気になっていた。そのものの人生に、わたしの人生を重ねていた。

でも、そのものは、わたし個人に対して何もしてくれない。わたしはそのものの人生の表面のごく一部を、爪楊枝の先で優しく撫でている程度の存在なのだ。いてもいなくても変わらない。一方通行でも良いと思っていたけれど、やっぱりだめなんだよ。無償の愛には限りがあるんだよ。

だから自分のために生きるために、大事な大事な、そのものを棄ててきました。
棄てるとき、悲しくなると思っていたけれど、それよりもスッキリ感の方が上だった。
意外だった。


今までありがとう。さようなら。
わたしが自分の人生を生きられるようになったら、また会いに行きます。
それまでどうか、お元気で。