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華岡青洲編/地元偉人伝①

今日は以下のような小説を書き、
SNSに投稿した。

一緒に流した音楽:progress /スガシカオ
タイトル:あなたを待つ悲願

「母親と嫁実験台にして
お前に心は無いんか!」
医師の仲間が言う。
逆に誰を実験台にしろと言うのだ。

時は江戸時代。

乳がんを治すには
どうしても手術に伴う痛みを
抑える必要がある。

しかは誰も実験台になりたい人
なんていやしない。
研究は人体実験の段階で
止まっていた。

人の命をより多く救うには
どうしても麻酔薬の開発は
必要なのだ。

母や嫁に頼んで
実験を手伝ってもらった。

幾度も幾度も
薬の調合を
繰り返し、
家族に投与した。

「じきに痛くない手術が
出来るようになる」

そう母に麻酔を打った日、
母はそのまま起きてこなかった。

「これ以上はあかん。
もう実験はしまいや。
オカン殺してしもた。」

「雲平さん。
私も手伝いますから。
お母さんもこのままじゃ
浮かばれません。」

嫁はそんな時にも寄り添ってくれた。
今回こそは大丈夫や。
もうネズミや犬では百発百中
麻酔を用いた手術は成功してる。

絶対に行ける。

「お前だけは絶対に死なせへんからな。」

嫁に麻酔を投与した。

手術は成功。
したかのように思われた。

意識は戻ったが目が開かない。
妻は視力を失った。

「もうあかんよ。
これ以上大切なもん
俺は失いとうない。」

「雲平さん...」

俺は研究を一時中断した。

「うちの子が倒れて!
もうどこの医者も手遅れや言うて
みてくれやんのです!
どうか!」

家族を失う覚悟で手術に挑む
雲平の噂を聞きつけて

最後の希望を託して
訪ねてくる
ありとあらゆる病気の
末期患者たちが
度々運び込まれて
来るようになった。

俺は調合と手術を重ねた。

「手は尽くしましたが、すいません」

患者の家族に手術の失敗を伝えると

「先生だけは最後までうちの人に
向き合ってくれた。
感謝こそすれ謝られること
なんてありません。」

患者の家族たちは
俺を責めるどころか
感謝までしてくれた。

そこからは試行錯誤の連続だった。
弟子をたくさんつくり、
麻酔に効く薬草から成分を
抽出しては配合を繰り返し
末期患者への投与を繰り返した。

たくさん人が死んでいった。

「60の母なんですが
治りますやろか。
もうどこの医者行っても
手遅れや言われますんや」

何人目だったか。
乳がんの患者がまた
運び込まれてきた。

「やりましょう。」

手術は成功した。
母の死から十数年。


「あなた。」
目に光を失った妻の顔にも
明るさが戻った。

「おっかさん!
おっかさんが生きとる!」

「先生、ありがとう、ありがとう、、、」

あらゆる手段を用いて
研究に研究を重ねた結果
妻と患者の笑顔が
そこにはあった。

戸の隙間から見える
田畑のあぜに咲く彼岸花は
緑の大地に頬を赤く染めて
次の季節の調べを
伝えていた。

#TikTok小説#華岡青洲#和歌山

SNS上では反応が良く、
1日で8000再生ほどされたので
僕もご満悦である。

次回は和歌山の偉人シリーズで、
南方熊楠で書いてみようと思う。

華岡青洲に関しては、ネットの情報以外にも、
実際に麻酔薬を作っていたところに小学校の
社会見学で連れて行ってもらったこともあったので
比較的書きやすかったが、

南方熊楠に関してはさほど
関係性が薄く、学校でも大きくは触れなかったので
念入りに資料を読み込み
書いてみようと思う。

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