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貴羽るきの詩

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詩です。
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2016年12月の記事一覧

月は遠く

雨が降っている、と嘘をついた

声だけで話すときは

声の色を消して

届ける 震えだけを

わたしたち、何かの力を借りなければ

わたしたちでいられない

ひかる画面や音の出る穴

プラスティック

そのほか

たとえば未来にゆけば

わたしは、もっとたくさんの

わたしたちを、つくる

はぁ

なんにも終わらない

雨はまだ止まない

ずっと、止まない

(『現代詩手帖』2016年11月号掲載

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