眠たそうな、春三日月(はるみかづき)
日が暮れて、西の空に三日月を見つけました。
春三日月は、小舟のように横たわって
眠りにつくように、沈み込んでゆきました。
春の季語にもなっている「春三日月」。
季節によって三日月の傾きが違うことに、
これまでちっとも気がついていませんでした。
天を進む、月の軌道が季節によって変化して、
太陽の光があたる場所が変わるからだそう。
春の月は、垂直に近い角度で西に沈んでいくため
先に沈んだ太陽の光を下から受けることになり
月の下側が細く光って釣り船のように見えるのです。
(ちなみに秋の三日月は斜めの角度で沈んでいくため
太陽の光を横から受けて、立ったように見えるそうです。)
そして、一番傾くのが春の彼岸の頃。
のんびりと、でもくっきりと。
来月の三日月は、もっと寝ていることでしょう。
花にほふ 霞の空を ながむれば おぼろけならぬ 春の三日月
後鳥羽院御集
*