あめふりやまぬ 〜好きな人に『好きだ』と言わずに『好きだ』と伝える短篇集〜
『あめふりやまぬ』
大粒の雨を降らせていた秋の空は、ようやくその手を緩め始めた。
通り雨くらいだろうと思っていたのだが、予想が甘かったらしい。これならもう少し室内にいた方がよかった。靴の中で濡れているソックスを足の指で少し弄った。
「ごめん、ケイスケくん。お待たせー」
「ううん、さっきついたとこだから」
「……ウソつきぃ、裾とか濡れてるもん」
あっさりとバレてしまった。
「バレちゃあ、しかたあるめえ」
「何それ。時代劇のつもり?」
「まぁ、そんなもん