日本IBMで働いています|内田悠貴
入社
日本IBMに2020年2月1日から入社しました。また、障害者採用という事で、会社側に自身の障害を伝えて配慮を受ける形(オープン雇用)で千葉県の幕張事業所で働いています。なお、後述するように途中で在宅勤務に切り替わっています。
所属
所属は日本IBMの人事ダイバーシティ&インクルージョン部門のビジネス・コンシェルジュ・サービス(Business Concierge Service:BCS)です。BCSは英日翻訳業務、人事関連データの作成、箱崎本社および幕張事業所の提携保育園利用のサポートなどを含む一般事務業務を行う組織です。この他に、障害のある学生・既卒の方を対象としたインターンシップ「Access Blue Program」(アクセスブルー・プログラム)の運営サポートも行っています。Access Blue Programについては昨年のAccess Blue Program 2019について書かれた以下のnoteとYahoo!ニュース特集の記事をご覧ください。
IBMのダイバーシティに対する基本的な考え方や取り組みについては日本IBMの以下のページから確認できます。よろしければご覧ください。
ツール
メールはIBM VerseとLotus Notes、チャットツールはSlack、ビデオ会議はWebex Meetings、資料共有にはBoxを使っています。会社から私に貸与されたノートPCはAppleのMacbook Air 2015でした。
2月上旬
入社後に割り振られた業務は音声認識システムを利用した文字起こしシステムであるAI Minutesの編集です。最初のうちは業務に必要な手法を身につけるために複数回に渡ってスキルレクチャーを受けました。AI Minutesの技術については以下の紹介ページをご覧ください。
AI Minutesは、Access Blue Programにおいて、聴覚に障害を持つ参加者の人ための情報保障の1つとしても活用されています。以下はLife at IBMのFacebookにあるAccess Blue Program 2019での一場面の写真ですが、文字が複数の行にずらりと並んだモニター画面が見えます。そのモニター画面に映し出された文字情報がAI Minutesのシステムの一部になります。
AI Minutesは優れたシステムですが、まだまだ人の手が入る余地はあります。
時は変わって今年の2月にAccess Blue Program 2020の参加者のオリエンテーションが行われました。AI Minutesが使われて、私も編集作業に携わりました。
空いた時間は社内のEラーニングプラットフォームの「Your Learning」を使っていました。Your Learningには人工知能(AI)やクラウド、ブロックチェーン、量子コンピューティング、英語学習などに関するコンテンツが豊富にあります。また、THINK40として年間40時間の学習が全世界のIBM全社員に推奨されていて、曲がりなりにも私の場合は後に40時間分のコンテンツを履修しました。
2月下旬
2月下旬、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響で「日本IBMとしては在宅勤務や時差出勤などを推奨する」アナウンスが社内全体に向けて発表されました。それを受けて、BCSでの出社時間が短くなりました。
3月
3月上旬、COVID-19の影響で日本IBM全体としては子会社と協力会社を含む、契約社員や派遣社員を含む全社員に「在宅勤務・時差出勤・Web会議の活用を強く推奨する期間」を3月末までとするアナウンス*1が社内全体に発表されました。また、BCSでは3月4日から在宅勤務となりました。勤務時間は出社時間の短縮時と違い、普段通りの時間です。
BCSでは社員の生活リズムの維持を兼ねて、Webex Meetingsを使った上司(マネージャー)による朝礼の時間が設けられました。
BCSでの業務は基本的に貸与されたノートPCを持ち帰る事ができないため、全ての業務は出社して行うものでした。そのため、上司の承認を経て在宅勤務を開始しています。
Access Blue Program 2020の一部日程が自宅学習になり、またBCSでは在宅勤務となったため、自分の業務が空くとYour Learningを利用する日々が続きました。それによってYour Learningでの履修時間が30時間を超えました。また、私の場合はメールでの終業報告が義務付けられました(Your Learningの利用を含めたその日の業務内容について報告)。
3月中旬にはIBMのジニー・ロメッティ会長から全世界のIBM社員に向けたビデオメッセージが公開されました。前例のない状況下で勤務するIBM社員・お客様企業への対応・企業としてのIBMという3つの観点から話されていました。
3月下旬には、在宅勤務の期間が4月末まで延長されました。
なお、日本IBMは在宅勤務ができる制度(e-ワーク制度)を1999年から導入しています。詳しくは以下のページをご覧ください。
4月
3月までAccess Blue Program 2020の講義はWebex Meetingsを使って進められてきましたが、しばらくの間、自宅待機状態となりカリキュラムの進行が滞りました。それにより、AI Minutesの稼働がなくなり私の場合は業務がない状態に直面しました。その間はYour Learning上のEラーニングコンテンツを履修していました。
Eラーニングのコンテンツを進めるまでは良かったのですが、手の届くものは次第に減ってきていて、クラウドやWatson、量子コンピューターなどに関するコンテンツも技術的な基礎知識なしに英語でのコンテンツを履修しても理解できるか怪しいところでした。仮に履修しても、将来的に技術職に就きたいわけではなく、作りたいもの・開発に携わりたいものがないのに技術的要素の強いのコンテンツを延々と履修しても苦痛でつまらないものになってしまいます。手の届くコンテンツをなんとか探しては履修するという、手元の僅かな食料でなんとか飢えを凌ぐような気分でした。
JMOOCもざっと探してみましたが、週1日で1章(あるい1節)を進めるというコンテンツではなく、毎日1章を進めていくような講座を求めていたので、自分の求めていたものとは違うと思い、この時は受講しませんでした。
Your Learningのコンテンツの中で、IBMの量子コンピューティングのシミュレーターが誰でも使えるというのを知ってちょっと触ってました。初めて利用する時にアカウント作成が必要ですが、Google・GitHub・LinkedIn・Twitterアカウントがあればログインしてすぐに使う事ができます。無料で誰でも使えます。シミュレーターのページは英語ですが、日本語で操作方法が解説されているので以下のページをご覧ください。
シミュレーション情報をCSVファイルでダウンロードしたり、出力結果はpng/svgの画像ファイルとしてダウンロードする事ができます。興味のある方はぜひ試してみてください。
話題は変わって、社内全体にCOVID-19に関する日本IBMの警戒レベルを「在宅勤務の強い推奨」から「在宅勤務の要請」に引き上げる事が発表されて、在宅勤務が必須となりました(業務上どうしても出社が必要な場合は上司を通じた申請を行う事に)。
日本IBMからは社外向けに以下のページが出ていますのでぜひご覧ください。
箱崎本社・幕張事業所・大阪事業所のカフェテリアの休業、箱崎本社と幕張事業所間を繋ぐシャトルバス(運行:はとバス)の減便、健康診断業務の一部停止なども行われました。
社員の在宅勤務に際して、制度からツールに至る在宅勤務に関する社内セッションがWebex Meetingsを通じて開催されたり、社内制度として設けられている箱崎本社にあるフィットネスジム「Genki」のトレーナーの方によるWebex Meetingsを通じたオンラインでのエクササイズセッションが行われました。
また、4月にIBMのCEOに就任したアービンド・クリシュナさんから就任にあたってのメッセージが公開されました。
4月中旬にはAccess Blue Program 2020がWebex Meetingsを用いたオンラインでの進行で再開し、AI Minutesの稼働が再開しました。
4月下旬、緊急事態宣言時の対応(在宅勤務やWeb会議への切り替えなど)を5月末まで延長する事が社内全体に発表されました。BCSでは在宅勤務が5月末まで延長されました。
また、IBMのアービンド・クリシュナCEOから全世界のIBM社員に向けたビデオメッセージが社内向けに公開されました。全社員の健康と安全・お客様企業への技術的支援・IBMの第1四半期決算などについて述べられました。
5月
Access Blue Program 2020は引き続きWebex Meetingsを利用してリモートで進められてきました。5月には仮想クライアント提案プロジェクトが行われました。仮想クライアント提案プロジェクトは、IBMの事業の1つであるお客様へのソリューションの提供に関連して、架空のお客様(企業)を相手に課題解決の提案をチームで行い、お客様の価値創造を目指す、というプログラムです。これもWebex Meetingsを使って進行しました。
なお、それまでAI Minutesの音声文字認識はWebex Meetingsの画面共有で最新18行分・1行で最大約22文字の情報(画面共有上の数字)を表示していましたが、仮想クライアント提案プロジェクトでお客様への提案を行うセッションでは、Webex Meetingsはカメラをオンにするのを優先し、AI Minutesは画面共有をせず、聴覚に障害のあるAccess Blue Program参加者の方がWebex Meetingsを起動したままAI Minutesの編集システムに直接ログインしてもらうという対応になりました。
業務で音声文字認識のシステムに触れている最中、Googleの音声文字変換アプリ(Android)を用いたリアルタイムでの音声文字認識システムが一時期話題になりました。1行あたりにおける表示数などAI Minutesと異なる点はあれど、良いシステムだなと思いました。
ここまで、Access Blue Program 2020は在宅勤務(オンライン講義)が中心になった事で昨年とはカリキュラムの流れが違う、というのを感じていました。昨年と比べて、Javaの基礎講義やHTML/CSS/Javascriptの基礎講義、IBM Cloudのハンズオンセミナー、データ分析関連の講義など、特に技術系のカリキュラムが行われていませんでした。席に回って教える事が難しくなった昨今、こうした技術系の内容はオンラインだけでのサポートが難しいのだろうと感じました。Microsoft Teamsの共有コンテンツ制御の機能、便利そうですね。
話題は変わって、IBMからは5月21日に緊急事態宣言後の出社における基本方針『IBM Return to Workplace基本方針』が発表されました。詳しくは以下のページをご覧ください。
また、『IBM Return to Workplace基本方針』の資料は以下のURLからPDFファイルがダウンロードできます。https://www.ibm.com/downloads/cas/BZL8EV5D
『IBM Return to Workplace基本方針』では出社再開に関する情報分析と方針・出社再開に向けた段階別スケジュール・社員とお客様の安全を守るための措置が公開されています。例えば、「新たな職場安全規範」として以下の内容が公開されています。
また、BCSでは在宅勤務(e-ワーク)が7月末まで延長されました。
6月
AI Minutesの音声文字認識編集とEラーニングの履修の日々が続きました。Your Learningの履修時間が40時間に達しました。
私と就労支援施設と会社側の三者による定期面談の機会が設けられました(Webex Meetingsを通じた面談)。本来は入社1か月が経つ頃に携わっている業務内容などについて面談を行う予定でしたが、COVID-19の影響により6月に面談をするという運びになりました。
7月
Googleの音声文字変換アプリ(Android)を用いたリアルタイムでの音声文字認識システムを使う様子を見ていた時に、AI Minutesの音声認識システムと編集システムを使いながら「自分が現在参加しているビデオ会議の音声を会議に参加しながら編集できるか」と考えたので個人的に会社概要の動画を用いながら試してみました。
結果として「自分が現在参加しているビデオ会議の音声を会議に参加しながら編集する事はできない」という事になりました。編集する上ではどうしても音声を聞き直す作業が必要になり、進行中の音声と聞き直しの音声が2重に聞こえて会議に参加する事が難しいとなったためです。私の中では、会議参加者とは別に文字認識システムの編集を担当する人が必要だという結論になりました。
8月~9月
在宅勤務が続いています。
Access Blue Program 2020は順調に進み、アイディアソンであるAccess Blueチャレンジや日本IBMの実際のビジネス部門での就業体験を行うOJTもオンラインで実施され、今年のAccess Blue Program 2020は9月に全ての日程を終えました。Access Blue Program 2020の様子については以下の記事でも掲載されています。
10月以降
在宅勤務が続いています。
Your Learningのコンテンツを履修しつつ(55時間を超えました)、今年の業務の振り返りや来年に向けた準備を行っています。
出社と在宅勤務
先述の通り、出社から在宅勤務に切り替わり、出社と在宅勤務のどちらが良いかというと出社が良いと感じました。私生活との切り替わりの境界が薄くなったり、介護が必要な家族と共にいる中では家族を気にかけつつ仕事をしなければならないという状況下では、全く気にしなくていいというわけではないものの出社している方が良いと感じました。
普段のビデオ会議ではビデオをオフにしていて、ビデオ会議におけるビデオのオンオフは特に強制されていません。ビデオをオフにしていても会議は滞りなく進んでいます。
出社から在宅勤務に切り替わり、在宅勤務での机の上のセッティングや仕事の仕方など、出社時とは違う方法を模索し、自分に合う方法を見つけるまでに時間がかかり過ぎた所がこれまでの反省点です。
ちなみに、12月となった今でも、私の場合は在宅勤務が続いています。私が最後に出社したのは3月3日でした。
山口明夫社長とSlack
2020年11月12日にオンラインコミュニケーション「Slack」を開発するSlack Technologies主催の日本版カンファレンス「Slack Tour Japan Online」が開催され、弊社の山口明夫社長が登壇しました。アスキーで公開された以下の記事の通り、山口社長は専用のSlackチャンネルで日々メッセージを発信していて、絵文字でのリアクションもたくさん寄せられています。私も読んでいます。
Access Blue Program 2021の募集(募集終了)
(Access Blue Program 2021の募集は既に終了しました)
話題を180度変えますが、2020年12月1日から、Access Blue Program 2021の募集が開始しています。先述の通り、Access Blue Programは障害のある学生・既卒の方を対象としたインターンシップです。
応募の締め切りは2020年12月1日から2021年1月22日正午(必着)です。応募要項と申し込み方法は以下のPDFのURLからご覧ください。
https://www.ibm.com/ibm/responsibility/jp-ja/inclusion/static/accessblue2021-detail.pdf
※募集人数が40名程度となっていて、2019年次と2020年次(30名程度の募集)に比べて少し多くなっています。周囲の方で興味を持っている方などにご紹介いただけると幸いです。
Access Blue Programについてご質問があれば以下のお問い合わせページからどうぞ。メールにてご回答いたします。
2020年12月18日(金)と2020年1月8日(金)に説明会が行われます。説明会への申し込み方法は「こちら」からご覧ください。
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