北の岬に浮かぶ八面体の中に
ゆうべの空が映し出されている。
夕焼けを行く八つの影が
鳥のかたちをして飛んでいる。

船着き場に係留されている
昨日まで見た夢の数々。
夜になると
ひとつ、またひとつとひとりでに
沖へ向かって漕ぎ出すだろう。

雲が地表に落とす影が
岬から見える
つむじ風の丘を越えてゆく。
ここでできるのは
何かを見送ることだけだ。

もうじき
冬の回廊をとおって
灰色霧がやってくる。
ここでは雨が降らないので
誰もが安心して暮らすことができる。

白い朝がくると、つむじ風の丘から
一筋の煙が立ちのぼる。
かたちのない影がゆらゆらと
西に向かって尾を引いてゆく。

2018/07/17