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「幻のトライ」とは?
こんにちは。ラグビークイズ、最終回です。
「幻のトライ」。こんなお話がラグビーにはあります。あなたは聞いたことがありますか。
こんなお話しです。
昔ばなし「幻のトライ」とは、どんなお話か。
1905年、NZは英国遠征を行い連戦連勝(31連勝*)で迎えた最終戦は、対ウェールズ。前半0-3で負けていたNZ、やっと後半、誰の目にもトライと映ったが、レフリーの笛は鳴らず「幻のトライ」となった。当事者B.ディーンは、生涯にわたって「幻のトライ」ついて不平不満を一切漏らさなかった。それは「ラガーマンなら、ジェントルマンならレフリー(試合を任せた人)に文句を言わないことだ!」と教えられていたからだった。
それからおよそ10年、NZの義勇兵として第1次大戦に参加したディーンは、重症を負い死の間際、(自らの命と引換えなら神様も許されるだろうと)「あれはトライだった!」と言って息を引取ったのだった。
(*非常によく走るチームで、英記者も「All Backs全員バックスのようによく走る」と原稿を書いたが、新聞の印刷はALL Blacksと誤植。以後NZは、「All Blacks」と呼ばれるようになった。ユニフォームも上下とも黒色だった。)(解説文責:ラグビー学会・髙木應光)
どうでしたか、ラグビー昔話。以前にも書きましたが、ラグビーのレフリーは、絶対なのです。たとえそれが間違っていても、抗議は許されません。それだからこそ、レフリーも日々トレーニングして、ボールと共に常にあるようにしています。(ボールに絡んだプレーが一番見にくいし、反則が起こりやすいので。)レフリーも、すべてのプレーを一人で完璧に判定することはできないかもしれません。ラグビーをプレーするものは、そこのところもすべて飲み込んで、レフリーに、「願いします」と試合を託すわけです。その方に、異議は唱えません。そして、プレーヤーすべてが、「フェアプレーの精神」で正々堂々と戦う。そんなラグビー精神があふれたエピソードです。
最近のラガーメン、ラガーウィメンはこのお話、知っておられますでしょうか。競技力の向上に気持ちが入りがちですが、ラグビー文化もしっかりと学びたいものです。
世界最強、オールブラックス。実はみんなよく走るので、「オールバックス」と表現したところ、誤植で「オールブラックス」が誕生した、というのも、面白いですね。