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ぼくと孤独ちゃん。

孤独ちゃん


孤独ちゃん。


きみとは長い付き合いになるね。はじめに会ったのはいつだっただろう。
はじめてお母さんを嫌いになった日だろうか。それとも、みんなにはお父さんがいると知った日だろうか、いやもっと小さい頃か。

いずれにせよ、きみはずっとぼくのそばにいて、ことあるごとにぼくを不安にさせたり、焦らさせたり、かと思ったら変にプライドをもたせたり。散々ぼくをおちょくって、もてあそんできたよね。まったく意地が悪い笑。

きみとは腐れ縁みたいで、何度か絶交しようとして頑張ってみたんだけど、結局どれも失敗に終わったのはいい思い出だ。

サムネ出典:pinterest

仲たがい

そんな君をほんとうに嫌いになり始めたのは中学生ぐらだった気がする。あの頃のぼくたちは最悪だった。

思春期の学校生活が始まると、きみは急に口数が増えて、ことあるごとに僕を苦しめた。

ドッヂボールに乗り気になれなくて、教室で一人で本を読んでいる時、友達を捕まえ損ねて一人になった下校の帰り道、きみはにやつきながら
「ぼっちだね。さみしいそう」とか
「みんなにおいてかれちゃって、恥ずかしいヤツ。」
とか延々と僕にささやいてくる。

ひどく嫌な奴にみえて、怖かった。センシティブな僕には、きみみたいなやつが一番怖かったし、何度も君から離れようとした。

一人にならないよう必死に「みんな」と仲良くして、みんなと同じものを買って、話題に入ろうと焦って、自分なんて二の次にした。きみを見たくなかったから。

でもなぜか、そうすればそうするほど、
きみの声は大きくなっていった。

最近の孤独ちゃんとぼく

そんな君は二十歳になってもやっぱりぼくに付きまとってて、ちょくちょく嫌がらせをしてくる。

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例えば大学で一人で講義を受けているときや一人で食堂でご飯を食べる時、きみは決まって現れて、耳元でささやく。
「友だちいないの?」「みんな楽しそうだよ」
勘弁してくれマジで。

周りが恋愛に花を咲かせ、誰と誰が付き合ってるだの、あの子がフッただのフラれただの言って楽しそうな時も、

ましてや、僕が大切な人と一緒にいる時でさえ、きみは顔を覗かせて、余計な口出しをして、僕の幸せな時間に水を差した。

でも、付き合いが長いせいかな、最近はやっと君に堂々と言い返せるようになってきた。
「一人?」ってきかれたら
「いいじゃんそれで、ダメ?」って

思えば、ろくに君と向き合ってこなかったね。
孤独ちゃん。きみをただ恐れてばっかりで、ろくに話し合おうともしてこなかった。

還るのは一人

きみはいつでもぼくの中にいて片時も離れたことはなかった。あの人との幸せだった日々の中にだって静かにそこにいたし、ぼくの親同然だった人の死に触れた時にも、一緒だった。

きみとの付き合いをずっと続ける中で、いろんなことが少しずつ、本当に少しづつ分かってきた気がする。

みんなに「合わせ」ても孤独は埋まらないこと。誰かと「一緒にいる」ことの意味。
「みんな」や大切な人と、「一人」の間をどう歩くか。みたいなこと。

最近は、何かが始まるときも、終わるときも、結局最後は一人だ。と思うようになった。
もちろんその中で共に日々を過ごす人、大切な存在になる人はいる。

だけど、始まったものは、終わる。

いろんな始まりと終わりがあるど、いろんな人やものが僕から去っていくけれど、君だけはただずっとそばにいる。

あの人が誰かに愛される夜に、
誰かが誰かに出会う時に、
誰かの何かが終わる日に

僕はまた 一人にもどる。


それなら、きみを嫌ってばかりでは仕方ない。

どうせ一生離れられないんだ。
僕は、きみとの日々を楽しんでみようと思う。ときどき喧嘩もするだろうけど、仲良くやっていこう。腐れ縁なりに。
そんなわけで
これからもよろしく、孤独ちゃん。

 今回の裏話

いかがだったでしょうか。またまたエッセイを書いてしまいました。こんかいのコンセプトは「孤独」。誰しもがもつ者なのにほとんどの人がそれを嫌います。僕だってみんなといて楽しく過ごすのが大好きです。でも、本文中にもあるように人間には必ず「一人」になる、またはならざるを得ない時間があります。そんなときそれを拒絶するか、一息ついてくつろぐかはあなた次第。今日はそんな感じのことを書いてみました。

今回、特に最後の章あたりで参考にしてのがこの曲。

誰かが誰かにイラつく夜
誰かが誰かを認めた夜
誰かが誰かを愛する夜
俺はまた1人に戻る

ってリリックに最高に喰らってしまいました。

それとこちら

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辻村深月さんの「凍りのくじら」です。具体的にどこを参考したのかはわかりませんが、確実に影響を受けてます笑。

ということで、今日はこの辺で失礼します。読んでくれたひと、本当にありがとうございます。この記事があなたの「自分らしさ」の一助になれば幸いです。  
    メディア部 たくと

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