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【山雅】魂の話と再現性の話|J3第23節【レビュー】

イングランド・プレミアリーグが好きで全試合観ている戦術オタクによる、松本山雅のレビュー。



2023.8.19
J3 第23節

鹿児島ユナイテッドFC
×
松本山雅FC



監督・選手のコメント↓




~スタメン~

鹿児島(青):4-2-3-1
山雅(白):4-2-3-1


~はじめに~

  • 鹿児島のプレスが甘い

  • 守備の意識が足りない

  • 攻撃の再現性はあるのか

ということについて、見ていきたい。


~鹿児島のプレス~

鹿児島が積極的にプレスをかけようとするものの、あまりハマっていなかった。

鹿児島のプレスは主に2パターンあったと思う。


1つ目は、2トップが縦に並んでサイドに追い込もうとするパターンである。

鈴木翔大と端戸が縦に並び、ボールをどちらかのサイドに誘導して奪おうとしていた。

2トップが縦関係になる。

しかし、割と簡単に逆サイドに逃げられてしまうことが多かった。

片方のサイドに追い込み切れない。

ちなみに、1点目もこのプレスがかわされたところから生まれていた。


2つ目は、SHが山雅CB、SBが山雅SBまで出てきてプレスをかけるパターンである。

主に右サイドで右SH五領がCBの常田へ、右SB野嶽がSB下川へスライドしてボールを奪おうとすることが多かった。

SHとSBがスライドしてプレスをかけにくる。

このとき、山雅は左SH鈴木国友がサイドへ流れ、野嶽の背後でボールを受けようとする。

野嶽の背後を狙う。

それに対して、鹿児島はボランチがついて行くのかCBがついて行くのかが中途半端で、対応が間に合っているようには見えなかった。

対応が中途半端で、結局パスを受けられてしまう、


~最近の対山雅~

最近(18節の福島戦あたりから)、山雅に対してプレスかけてくるチームが多くなってきたように感じる。
しかし、どのチームもプレスがあまり上手ではなく、それほど効果的ではなかった。
プレスをかけるために前に出るものの、パスコースを丁寧に切れてはいなかった。
結果、山雅としてはビルドアップがしやすい状況になっていた。

プレスをかけるのではなく、4-4-2でブロックを組んでサボらず走り抜くようなチームに対して、山雅は散々苦労してきた。

そんなチームが減っているのなら、山雅にとっては朗報かもしれない。


~試合結果~

鹿児島ユナイテッドFC 0

松本山雅FC      2
13' 藤谷壮  55' 小松蓮


~魂を込めているか~

30:02のシーン。
野澤が接触によって動けなくなり、一時的に菊井が右SHに入っているシーンである。

ボールが左SH米澤へ。

サイドで張っている米澤へ。

藤谷が米澤へ寄せる。
藤谷の背後を薩川が狙ってくる。

藤谷の背後に薩川が走る。

このとき、薩川はフリーになっているのだが、安永も菊井も、急いで戻ろうとしているようには全く見えなかった。
ただジョギングでなんとなく戻っているだけだった。

薩川に対して安永も菊井もついていこうとしない。

このシーンでは薩川へパスは出なかったが、出ていれば大ピンチだっただろう。
もっと高いレベルならきっと見逃してもらえなかったはずだ。

「たまたまできなかったシーンを取り上げているだけだろ」と思われるかもしれないが、こういうシーンが見られるのは二人とも初めてではない。

安永は基本的にはすごく頑張っているけれども、「今もっと走るべきだったのでは」と思うシーンがどうしても時々見られる。

そして菊井に関しては、場面によって頑張ったり頑張らなかったりと、波がありすぎる。
このシーンも、献身的に走れる野澤なら間違いなく全力で戻っていただろう。

菊井がキャプテンマークを巻いているということが今でも信じられない。
もっと高いレベルの選手なら絶対走っているはずなのに…と思うたびに、悲しい気持ちになる。
(J3の選手に対して高い要求をするのは酷なのだろうか)

残念ながら、菊井の守備はチームを苦しめている。
(菊井は全力で守備をしないことが許されているのか?)


もし、選手たちに「本当に本気で戦っているか」と聞いたら、もちろんそうだと言うだろうし、それは嘘ではないだろうとも思う。

それでも、今回のように走っていないシーンがあると、「絶対にチームを勝たせるんだ」というような、執念のようなものは感じられない。

こういう部分を徹底できていないのは、チームの弱さだなと思う。


~再現性はあるか~

この試合では、藤谷がカットインから得点を決め、下川がPKを獲得した。
両SBが大仕事をやってのけた。
その結果、勝ち点3を手にすることができた。

ただ、果たして、毎回これができるのだろうか。


藤谷の得点のシーンだが、藤谷がカットインしてエリア内に侵入し、そのままシュートを打っていた。

藤谷がドリブルでエリア内を進んでいき、シュート。

こんなにドリブルで運ばせてもらえることって、普通あるのだろうか。

もし、相手のボランチ山口または左SH米澤が急いで戻ってきていたら、シュートまで持っていけていなかった可能性がある。
というか、戻るべきだった。

急いで戻っていれば、カットインを防げたかもしれない。

相手が必死で守備をしていたら、そもそもこの得点は生まれていなかったかもしれない。


今の山雅においては、SBが高い位置でサイドに張り、ボールを受ける。

つまり、サイド攻撃におけるキーマンはSBということになる。

しかし、これまでも触れてきたことだが、このチームではSBに対して満足なサポートが与えられない瞬間も多い。

だから、SBが一人でなんとかしなければいけなくなる。

一人で仕掛けてクロスを上げたり、あるいはカットインしたりと、とにかく己の力だけで目の前の相手を乗り越えなければならない。

普通はウインガーの選手に任せたいような仕事を、このチームではDFの選手であるSBが担わなければならなくなっている。

ならせめてサポートを徹底するということをしたいのだが、それも見られない。

そのような状況で、今回のようにSBが違いを生み出すことを毎試合期待できるのだろうか。
今回は相手の守備の甘さもあって得点できたが、果たして今後もできるのだろうか。


そこに再現性は見られるのだろうか。


~終わりに~

山雅は選手の質が高いので、相手の守備に綻びがあれば、しっかり見逃さずに点を取ることができる。

ただ、守備が堅い相手に対してどの程度通用するかというのは、今も疑問が残る。



最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


今年のレビューのまとめ↓


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