【読書記録】『海になる』(『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』より)
『海になる』(『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』より)
町田その子著
何度も流産した上で、ようやく授かった生命は、死産だったという桜子。子どもを産むことが出来なくなった桜子を執拗に責め立てるDVの夫。傷ついた桜子を助ける謎の男・清音。
中学校の教師だというDV夫があまりにも幼くて、読み進めるのもなかなか辛くなる。
そんな桜子に清音は、夫を殺してから自分も死ねばよいと提案する。桜子は夫に睡眠薬を飲ませて、いざ、首を絞め始めた。
キーワードを挙げてみる。
海
1. **無限と未知**: 海はその広大さから無限を象徴する。人間の知識や理解を超えた存在として、海は未知の領域を示唆し、ひとに限界を意識させる。
2. **生命の源**: 海は多くの生物の生息地であり、生命そのものの起源とも考えられている。海は生命の循環や相互依存性を象徴し、全ての存在が繋がっていることを示す。
3. **変化と流動性**: 海の波や潮の動きは、変化や流動性を象徴する。海の流れは、時に激しく、時に穏やかであり、人生の様々な側面を象徴する。
4. **深層心理と無意識**: 海の深さは、無意識や深層心理の象徴とも解釈される。心理学者フロイトやユングは、無意識の世界を海に例えた。海の奥深くには未知なる感情や記憶が存在し、人間の行動や思考に影響を与えている。
5. **孤独と広がり**: 海の広大さは、孤独感や人間の存在の小ささを象徴する。一方で、その広がりは、他者との繋がりや共感の可能性をも示唆する。この相反する感情は、ひとが孤独を感じながらも、同時に他者との関係を求める人間の本質を反映していると考えられる。
物語の主題は何か?
人生って、光と闇の連続なのだけど、闇に飲み込まれない限り、必ず救いがあるということ。まあ、本書を読むと、桜子の人生は闇だらけで、こっちの方が辛くなってしまうのだけどね。
闇の中にあっても、その上には、闇より強い光があると言うことなのだと理解した。