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『円』(短編集『円』より)
『円』(短編集『円』より)
劉慈欣(りゅう じきん)著
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時は秦の始皇帝の時代。刺客として送り込まれていた燕の荊軻(ケイカ)が、秦の始皇帝の前で、自害しようというところから物語は始まる。
その後、荊軻は、始皇帝に認められるようになる。かねてから始皇帝は、不老不死の薬を求めて各地に遣いをやっていたのだけれど、なかなかうまくいかないでいた。
荊軻に意見を聞くと、意外な答えが来た。いわゆる円周率を追求することで、神の叡智に触れることができるのだという。300万の兵士を用いて、人間コンピュータという手段で、円周率の計算をしようという。
始皇帝は、その話に乗っかり、全国の兵士を、円周率の計算要員としてかき集めるのだった。人力で、円周率の計算を長期間にわたり、計算を進める中、周辺の燕に攻められてしまい、秦は滅んで、始皇帝と荊軻は処刑される。
人力で計算をするという、なかなか想像しづらい世界観が、何とも面白い。
ダヴィンチ然り、デカルト然り、
数学や物理学の追求はしばしば哲学的な問いへとつながるわけなのだけど、永遠に続く、円周率の追求が、不老不死のヒントになるかもしれないというのは、なかなか、興味が惹かれる。
真円というのは、なかなか、存在しないらしい。身近なところでは、太陽が最も真円(真球)に近いものらしいのだけどね。ちなみに、どうして太陽は丸いのか?
「太陽はその自身の重力によって丸くなっています。重力は物体の中心に向かって均等に働くので、物体は重力に抵抗する力が最小となる形状、つまり球形になります。これは太陽だけでなく、他の多くの天体(例えば地球や他の惑星)にも当てはまります。」
そんな話を聞くと、アインシュタインが言う「神はサイコロをふらない」(偶然に任せたりしない。神様は、全てを計画している)というのは、真実だなあと思ってしまうのだけどね。
今のところ、量子力学的には、「神はサイコロをふるらしい」
やはり、数学や物理学は、哲学なのだなあと改めて思った。