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『わかれ道』

『わかれ道』
樋口一葉著


一言で言うと、傘職人で孤児の吉三(16歳)は、近くに住む女性で針仕事をしているお京(20歳以上)を姉のように思い、慕っていた。ある日、お京は、妾になることを決めた。今後は、吉三とも、会うことができなくなることを告げた。そして、吉三は途方に暮れるという話。

お京は、努力して、「出世」することが、できると信じて生きてきたのだと思う。一方の吉三は、自分の生い立ちなどから、人生は「運」だと思っている。日常の地道な努力が、運を呼び寄せるのだと信じているのだと思う。

二人の考え方は、似ているのだけど、根本的に違うのは、お京は、出世(成功)は、努力すれば、必ず報われると思っているのに対して、吉三は、努力はするけれど、成功するかどうかは、運次第と考える。ということなのだと思う。でも、当時の社会情勢から、彼らの出世(成功)は、ほぼ不可能だと考えたのだと思う。

そんな時、お京のもとに、妾の話がやってくる。恐らく、着物の納品先で、声が掛かったのかもしれない。
これは、努力の末の報いなり、幸運なのだとお京は、理解したのだと思う。

吉三は、その話を聞いても、喜べない。お京のことを恋慕っているわけだからね。いつもの日々を繰り返して、自分に合った、自分に与えられた仕事を淡々と取り組む中で、幸運がやってくるのを待つことが、人生なのだと思っているのだと思った。

妾の立場というものは、幸せなことなのか、わからないが、お京は、前向きに考えている。

お京にしてみれば、男性である吉三が自身は、努力をすれば、社会的地位を得る可能性があるはずで、女性のお京はその可能性は、相当低いので、裕福な男性に依存するしかないという現実な認識が、あるのだと思う。

樋口一葉は、比較的裕福な家庭に生まれたのだけど、幼いうちに、両親が、亡くなって、借金にも散々苦しめられた経験があり、女性が努力しても、社会的な地位を得るのは、かなり難しかい、というのは、実体験から出てきた考えなのだとはおもう。24歳で亡くなってしまうのだけど、死後、100年以上経ったいま、肖像画が、紙幣に使われるというのは、大成功な人生だったと思ってしまう。

令和の現代、富というものは、非常に偏ってきているように言われている。自由主義経済と言いのは、貧乏人が、裕福な側に移ることは、かなり難しい状況ってことでもあり、今は、まさに、似たような状況のように感じてしまう。

努力は大事だと思うけど、出世や成功は、お金の尺度でみると運だなあとは、思ってしまう。

私は、なかなか、裕福な側には、なれないのだけど、必要なお金は、だいたい何とかなるのが、人生だとは、思っている。

日々、喜び、祈り、感謝して、歩もうと思う。

幾田りら 吉祥寺

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