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ひきこもりの鍵は風通し

ひきこもりについての最後の記事です。今回は、どうやったらひきこもり状態から抜け出せるかについて書きます。

ひきこもりについての研究はたくさんあります。しかしながら、「これさえやっておけば大丈夫」といった万能薬は見つかっていません。では、ひきこもり状態から抜け出せないのかと言うと、そうではありません。社会に戻る方法がそれぞれ異なり、法則化できないのです。

じゃあ、どうすればいいのでしょうか?

3者のコミュニケーションを密に

鍵は、風通しにあります。ひきこもり当事者、家族、社会(友人、職場、医者やカウンセラー、教師など)、これら3者のコミュニケーションが円滑であれば、比較的早く問題解決に至ると言われています。

ひきこもりのシステム

以前の記事で、ひきこもりはストレスから距離を取る対処だと書きました。そのため、社会だけでなく家族ともコミュニケーションが分断されがちです。家族にしても、なかなか気軽に話せる話題ではなく、自分の悩みを語る機会が減ってしまいます。

ひきこもりはじめて日が浅いうちは、本人も家族も抜け出そうと試行錯誤します。しかし、あれこれ試しても上手くいかないと、自然に試行錯誤しなくなってしまいます。そのまま時間が経過すると、良い状態ではないと感じつつも毎日の生活としては落ち着き、変化が起こりにくくなってしまいます。そこで、ポイントとなるのがコミュニケーションです。ひきこもり当事者が、1人であれこれと試行錯誤してもアイディアに限りがありますが、家族と話すことで新しいアイディアを思いつくかもしれません。家族が押しても引いてもうまくいかず、もうダメだと思っているところに外の人と話したら、別のことをしてみようと思うかもしれません。つまり、コミュニケーションがあることにより、試行錯誤が促進されるのです。

ひきこもりは、社会への戻り方に個人差が大きく、解決法を1つに絞れないことを踏まえると、一人一人オーダーメイドで対応しなければなりません。そのため、風通しを良くし、試行錯誤を続ける必要があるのです。

風通しを良くするためには

「そもそも、ひきこもってコミュニケーションが難しいので、風通しをよくしようと思っても無理だ」

こう思われる方もおられると思います。確かにストレスへの対処として距離をとっていますので、無理にこじ開けようとすると余計にドアを固く閉ざしてしまいます。

しかし、ここで言うコミュニケーションは、「どうやったら社会に戻れるか」に限ったものではありません。何でも良いのです。まずは、日常の何気ない会話を楽しむようにしてください。将来どうするといった真面目な話ではなく、テレビを見て一緒にあれこれ言うとか、日常の面白いエピソードとか。そういった雑談を大事にしてください。やりとりが増えてくると、将来について話すことへのハードルが下がります。社会に戻る方法については、その後に話しても良いと思います。

また、当事者自身が社会とのコミュニケーションができるとより良いのですが、難しいこともあります。その場合、家族だけでも色々な人とコミュニケーションをとるように心がけてください。「本人が話さないと意味がない」と思われる方も多いですが、周囲にいる人のコミュニケーションが促進されれば、当事者にも良い影響があるものです。まずは、風通しが良くなるように工夫してみてください。


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