小さな文句が関係のこじれを防ぐ①
以前、クレーム対応についての講演を依頼されました。依頼してくれた方は、“クレームをつける人=精神的に問題がある”とのイメージが強かったようで、精神疾患を絡めて話して欲しいとのことでした。
そこでの話を分割して書きますので、良かったら参考にしてみてください。
他罰か?自罰か?
まず初めに、“クレームをつける人=精神的に問題がある”という認識には大きな誤解があります。
そもそもクレームとは、問題の原因を相手に求める行為です。他罰的とも言えます。一方で、精神科の患者さんは、自分を責めて苦しくなっていることが多く、自罰的な方がほとんどです。“クレームをつけてくる人=精神科患者”という構図は、実態と違っているのです。
トラブルは、相互作用で生じる
では、クレームをつけてくる人はどこに問題があるのか?
“クレームをつける人は精神的に問題がある”のように、人間関係のトラブルが生じると、多くの人は特定の個人が悪いからそれが起こるのだと考えます。しかし、心理学の中には、問題の原因を特定の個人に求めるのでなく、コミュニケーションの相互作用の中で生じるとの立場をとるものがあります。もちろん、他罰的な方はクレームを付けやすい傾向はありますが、全員がクレームをつけるわけではありません。はじめから問題を持った人がいるのではなく、やり取りを繰り返す中で問題視されるような一面が出てくるわけです。
収集がつかない場合や、埋められない溝ができてしまった場合でも、始めはささいなコミュニケーションのズレだったかもしれません。それが修正されないままにやり取りを繰り返してしまう時、トラブルは大きくなってしまいます。
ですから、コミュニケーションのズレに早い段階で気付きオープンにすることで、大きなトラブルは防げます。小さな文句を言ってもらうことが、関係のこじれを防ぐのです。次回以降、この点について説明を加えていきます。