【no pole】悲しい想いをする夜なんて
私自身、LGBTQ+当事者ではありますが、生まれた性も肉体的性も性自認も一致しており、一貫して自分は女性だと思い生活しています。女性として長く生きていると、そりゃあ「オンナって面倒臭い!」「オンナやめたい!」って思う出来事に数々遭遇しますが、身体のつくりに苦痛を感じて悩むとか変えたいと切実に考えるとか実際行動に移すという事はありませんし、色々あっても受け入れて最近は某CMのキャッチコピーでもある「女のコって本当に楽しい!」って気持ちで日々生きてます。(ここで何歳まで女のコと言って良いか問題は置いておきます)
前述致しました通り私はシス男性、レズビアンの女性、FTMさんとのお付き合い経験があり、それぞれ夜も経験しています。no poleに参加したかったきっかけでもお話した通り様々なグッズも使用したりしてきました。
ここからは「受ける側」であり「パートナー」経験者の“私”の目線です。私は自分の身体や心に違和感を持ったことはないので、お相手の身体や心や性に関する気持ちに関してはどんなに話してみても想像の域を出ません。また、パートナー側の方ともそんなに沢山夜の生活について語ったことはない為、本当にあくまで一個人の“私”の意見として書きます。全員が全員同じ意見ではないので、みんな違ってみんないいくらいのお気持ちで読み進めていただければと思います。
私は正直、受ける側が悲しい気持ちを持っていると伝えてはいけないと思っていました。行為はコミュニケーションと判っていながらも、こんな私なんかを求めてくれたのだから多くを求めてはいけない、相手がすることで気持ちよくなるべきだ、求められる反応をしたほうが良い。正直、これら全て行為の最中に考えたことがある言葉です。お相手は大好きな人で、気持ちが盛り上がってベッドインするのに虚しい気持ちや悲しい気持ちになるなんて…それは肉体の悩みとは別の部分ではありましたが私が感じてきたことです。
何故お相手に伝えてないのだろう、何故行為の中でコミュニケーションが取れてないのだろうと今になってゆっくり心を覗くと多分こういうことなのでは?という部分が見えてきます。それは愛する人を傷付けたくないから、なんだと思うのです。
一度FTMさんのパートナーになると、彼らが様々な所で悩み、苦しみ、考え、必要ないところでつまづき、面倒も沢山抱え、時には大事な人と対立したり阻害されたり、傷ついてきたことを知ります。人によって度合いは全く違っても、多分生まれた性と性自認が一致してる人が考えもしないような部分に面倒が生じたり、お金がかかったりすることも知ります。それでもその人が好きだからパートナーになるのですが、こと性生活に関して言うと、これは性別に関係なくこんなことを求めて良いのかな?があるように、言い辛い事はとても増えるように思います。
例えば体温を感じたいから脱いでほしいという一言だって、お相手はそれが死ぬほど嫌かもしれない(実際に普段の何気ない会話で聞いていれば尚更)と心でブレーキがかかります。「愛してるからどんな貴方でも好き」というこちら側の気持ちと身体との折り合いは別の問題とパートナー側は何となくでも感じているからです。
触って良いのか、良いならどこまで良いのか、全部こちら側も手探りです。そしてどこまで言って良いのかも。ものすごく直接的な言い方をするとすれば「挿れて」の一言だって受ける側は貴方の体温が感じられたら舌でも指でも欲しいの意味で言ったとしても、する側は「挿れたいのにないんだよ!」ってなってしまわないか言葉ですら考えます。
ちゃんとコミュニケーション取れてしっかり夜の生活が営めていればこの辺のやり取りはちゃんと生まれると思うのですが、それにしてもお互いの信頼を重ねていかないと難しい部分かなと。そして、これが最大の聞きづらい理由、それはFTMさん側もきっと苦悩しているんじゃないかと感じ取るからなんだと思うんです。
どこまでが正解なんだろう?とか終わりがわからないとか、本当にパートナーが気持ちよくなってくれてるのかな?って思う気持ちって、パートナー側は思ったよりちゃんと受け取ってます。だからこその言って良いのか悩むことが増えて結局のところすれ違っていくように思います。例え肉体的な反応として達したとしても心までちゃんと満たされるかは別の問題です。
貴方が暴力や脅しでなく、また自分の性について明かした上でお相手と夜を共にしたのであれば、お相手は貴方に抱かれることを承諾していることになり、それは貴方のことが少なからず好きか興味があるかであって、否定的な気持ちから入る行為というのはなかなか特殊だと思います。そして貴方を好きだと思うなら故意には貴方を傷付けません。例え言われたこと、質問されたこと、が過去に貴方を傷付ける目的で使われた言葉や表現であっても、目の前のパートナーと過去の人は別で目の前の人は純粋に貴方を傷付けたくないからこそ質問しているのです。例えば左利きの人が生まれてから何万回と「え?書くのは左なんだ、じゃあお箸はどっち?」といちいち聞かれるのと同じように純粋に知りたいし聞きたいだけです。一度知ってしまえば左側で取りやすいようにお箸を置けます。それと同じで一度貴方の事を知れば何をして欲しいのか知れるから聞くのです。
また、全ての質問に正直に答えなくても、答えたくないと言っても問題ないです。私たちは知らないから、海外の方と出会ったら「どこから来ましたか?」と悪意なく知りたくて聞くことがありますが、政治や宗教や思想などの理由などで答えたくない方がいたとしても別にこちらもそうなんだなぁと思うだけではないでしょうか。
身体や心や性のことなので何かとデリケートに考えがちですし、全ての人にそう対応して欲しいというお話ではなくて、目の前の貴方と共に歩んでるパートナーは他の人とは違うって事だけなんです。時として同じ境遇のFTMさん同士ですら聞かないことを、ポンッと聞いてくるかもしれないです。それを傷付けられた!聞かれたくなかった!って思うか、この人は自分のことを知りたがってるんだなと一旦受け止めてから「知りたいのはわかるけど話したくない」と言うのかは違います。もちろんパートナー側も言葉や表現はよく考えて選ぶべきなのですし、人間としての礼儀の部分はどんなに親しき中でも忘れてはいけないのでこれに関してもお互いさまだと思います。
さて、かなり脱線しました。実はFTMさん側がこれで良いんだろうかと悲しくなるに対してパートナー側も悲しい想いをする事があると知った上でどうするか、なのですが、そこにコミュニケーションがあると感じます。性に関することは、ぶっちゃけ恥ずかしいです。もちろん好きで話したくて仕方ない方が存在することも知ってますが、私に関して言えばもう顔から火が出るとはよく言ったと思えるくらいに恥ずかしいです。でもきっとちゃんと突き詰めて考えればそれはお互い様ですし、そもそもものすごく恥ずかしい姿をお互い見せ合う行為をするのですから、ここは開き直りちゃんとコミュニケーションを取り合って(途中真面目過ぎて覚めるとかはなしですよ)どちらも取りこぼさずお互いがお互いの身体を知り良いところを知り気持ちよくなれるって本当に素敵だと思います。
目の前のパートナーは「あなた」のことが好きなんですから、お互い悲しく虚しくなる行為をするなんて嫌じゃないですか?レッツコミュニケーション!
さて、そんなコミュニケーションを活発にする夜のお供no poleプロジェクトに2期生として参加させていただいています。正直私は参加するまで、する側の方々がこんなにも「どうしたいの?」「ここが良い?」(言葉だけ聞くと何だか言葉攻めみたいですが)などと確認して聞きながら行為をしようとしてるなんて知りませんでした。お互いが気持ちよくなるためのコミュニケーションなので会話でも雰囲気盛り上がること間違いなしな気がします。ずっと黙って淡々とコトが進むより、感じる体温だけでなく相手の声や吐息の色が変わっていくのを聞くのだって気持ちの盛り上がりが全然違うと思うのです。
現在、クラウドファンディング真っ最中。様々な方からの温かく心に染みるご支援いただき、残り期間スパートかけているところです。応援の気持ちや自分には必要なくても幸せな夜のコミュニケーションを取りたい誰かの為につながり連鎖をする方法もあります。
こちらのURLから飛んでいただいて、様々な気持ちを知っていただけたら幸いです。